第12話 勝負の惨劇
鬼のような圧力を放つ舞山はどうやら俺に気づいたらしい。
女の子らしい華奢な足にに似つかわしくない、どっしりとした足取りでこちらに向かってくる。
「や、やあ舞山さん。どうしてそこにいるの?」
『何そのキャラw それはともかく帰り勝負の結果教え合おうって言ってたじゃん。忘れたの?』
「少なくとも、そんな約束はしていない断言できる」
『ふ〜ん。それはいいや。ともかく何点だったの?教えてよ〜』
「個人情報だ。教えられない。」
『私と勝負の約束したよね?も し か し て忘れた?』
「別に忘れてないけど」
『なら、見せてくれるよね?』
「別に忘れてないけど」
『それさっきも聞いた。もしかして忘れてるから見せてくれないの?』
「別に忘れてないけど」
(面白いから暫くこのままでいよ〜っと)
『何?ふざけてるの?ねぇ?』
「別にふざけてないけど」
『絶対にふざけてた!ともかく点数教えて!』
「別にふざけてないけど」
『そういう態度するなら私にも考えあるけどな…』
「すみませんでした。」
『それで何点だったのかな?』
「1189点。平均だと約99.1点だったぞ」
『…990点だった。平均は丁度99… 負けた〜負けた〜負けた〜負けた〜負け…』
「はいはいうるさいうるさい。」
『ふっふん。でも私は大丈夫なのだよ。」
「何のマネだよ。よくわかんね〜。でどういうこと?」
『わたしさ『それで〜勝ったほうが負けた方の言うことをその週の休日の間中ずっと聞くの! オッケー?』っていってたよね?』
「そうだな。ん?勝ったほうが負けた方の言うことを聞く?そんな話なんて聞いてないぞ!」
『録音もあるけど聞く?w』
「ああ。聞かせてもらう納得できないからな。」
『ちょっと待ってね〜準備するから』
そんなバカな話本当なワケがない。舞山は俺に命令されるのがイヤでこんなことを言っているのだろう。俺は彼女がスマホの準備を終わらせるまで余裕な気持ちで待った。
『オッケー再生するね』
[
…『平均点で勝負すればいいでしょ?』
『それで〜勝ったほうが負けた方の言うことをその週の休日の間中ずっと聞くの! オッケー?』
「分かったよ。それで。」
『じゃ決まりね!もし負けても忘れたとかいって約束すっぽかさないでよ〜』
]
(マジでか?これ?前から舞山はズル賢いと思っていたがここまでだったとは。今度からはこいつの言う事一語一句に気をつけて過ごさないと。何言われるかわからんし。)
「マジか。てかお前俺をハメたな?許さねえ。」
『ハメてません〜そもそもゆう君がちゃんと聞いていなかったのが問題でしょう?』
「くっ反論できない…」
『そんなに嫌ならこれからちゃんと人の話は聞くことだね。』
「ちっ。仕方ないか〜」
まさか舞山に叱られる日が来るとは。人生ってホント想定外の事だらけだ。今までも、転校が重なったり、両…やめておこう。余計ナイーブな気持ちになる。
「で、お前は俺に何をさせるんだ?」
『お前って何なの?せめて名前で読んでよつれないな君。』
「そんなことは今関係ないじゃないですか。早く言ってくださいよ。」
『は〜い。えっとね?取り敢えず今週末買い物に付き合ってほしいな〜って。あと、ご飯でも奢ってもらおっかな。なにかプレゼントしてもらうのもいいかも』
「わがままだな。言っておくがそこまでお金はないぞ。前キャンプ用具買うのに使ったからな。」
『はいはーい。分かってますよ〜』
(本当にわかってんのかこいつ?ぜったい聞き流してるって。だってコイツサラッと約束事ではめるようなやつだよ?信用ならないな。)
「取り敢えずで買い物行くって言っても色々あるだろ?どこだよそれって。近くのショッピングモールか?それとも少し遠くのところか?言ってくれなきゃ分からねーぞ。」
『君ってそんな口悪かったけ〜 まあいいや。普通に近くのとこだよ。さっき君が言ってたとこ。分かった?』
「了解。じゃあ待ち合わせもそこでいいな。正面の広場か?それとも中にあるレクリエーションスペースのとこか?」
『いや普通に正面の広場でいいよ。というかこういうのって普通LIMEで決めるもんじゃないの?』
「確かに。」
『今更〜?まあいいけどさ〜』
「俺勝負に一応勝ったのにこの仕打ちはあんまりだよ…」
『はいはいよく頑張りましたw』
「問題になっている当の本人に言われても何の慰めにもならないって。」
結局こうなるのかっと思う。
世の中は理不尽である。
それにしても一つ学んだ。
こういう人が詐欺師になるのかって思った。
実際にはそんなこともないのだろうけど。
それにしても今日はさっきの一件を除けば、本当にいい日だった。
友達も一人だができたし、学年1位を取れたしバンバンザイだ。
本当のホントに最後の一件はいらなかったと心底思う。
家入って間違ったところ復習しよっと。
そう思いながら、俺は舞山さんを見送った。
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