第37話 打ち上げ
どうしたものかと思う。
正直きたものはいいがやることがない。
適当にスマホをいじる。
特にやることがないので当然だろう。
「優。なんだ全然楽しんでいないじゃないか。」
「いや、だってカラオケだってとられたままだし、ゲームとかも入るタイミングよくわからないからな。」
「…もっと積極的にいったほうがお前らしいよ。」
「そんなの知ってるよ。」
『何々~?何の話~?私にも聞かせてよ!』
「舞山も知ってるだろ?優は積極的な方が優らしいと思うって話。」
『確かに~それはそうかも!』
何二人して納得してるんだよ。
だって俺って面倒くさがりな勉強オタクだぞ?
積極的に何かをやる俺なんてむしろ俺らしくない。
俺らしいと言えば今の俺こそぴったりなはずだが…
本当にこいつらは何を言ってるんだか。
少し周りを見渡す。
会長が俺と同じく(主観)孤立してるらしい。
何かしているっぽいが分からないからとりあえずそういうことにする。
どうにかしなくては!どうにかしなくては!?
…まぁいっか。
「会長何してますか?もしかして暇ですか?暇なんですよね?そうですよね?」
「本当にあなたは失礼な方ですね。で、要件は何でしょうか?要件がないならさっさと…」
『星加会長!楽しんでますか〜?』
「舞山さん。いつも言っていますが、人への呼び方は統一しなさい。でないと反応しづらいでしょう。」
会長。人をそれはコミュ障というらしいですよ。
会長ってコミュ障だったんですね。
ますます同類だ。なんか親近感が湧いてきた。
『え〜別にいいでしょ〜会長〜』
「言ったそばからですか…はぁ…」
何だかんだ言って美咲って桐山よりも人の言うこと聞かないもんな。
俺だって何か言う暇を与えられることが少ないし、だからといってすぐに回避行動を取っても何故か捕まえられる。
それに質問してきたらノーはあり得ない。
舞山 美咲の問いにはイエスorイエスの実質一択しかないからである。
それを知ってる俺はよく分かる。
会長も本当に可哀想な限りである。
『別にいいじゃん。減るもんじゃないしさ〜、ね?』
「減りますよ。無駄に戸惑う時間という大切な資源が無くなります。今さっき私が何していたか分かりますか?」
『暇を持て余してた?』
「いえ違います。もしそうであるのならばここまで言いません。つい先程まで私は期末考査の学習範囲及び計画を立てていました。なので余計な邪魔はやめていただきたいのです。」
『そうやって怒ってる間が無駄だと思うけどな…終わったらこっち来てね!ビンゴ大会するみたいだからさ!』
「え?なにそれ俺聞いてない。」
『え?言ってないから当然だよね?』
「…チッ。」
『ねぇ、今舌打ちした〜したよね?』
「やりたくないからな。そんな日向の生命体どもと日陰の生命体の俺が一緒にやるなんて無理だろ。生物的構造が違う。つまり無理だ。」
『屁理屈!?余計に面倒くさくなってるね…どうでもいいから行こっ!』
(いや、どうでも良くないから。もしそうならトイレに篭ってたのに。)
「ビンゴ大会ってことはもうそろそろ解散か?」
『いや?全然?』
「そういうのって大体終わりにやるものなのでは?」
『そうかもね〜でも今のは違うっぽいよ。』
「…ちなみにビンゴの景品は?」
『やっぱり気になるんだね〜素直じゃない奴め!』
「…いや?気になっただけだが?」
『流石にゲーム機とか高いものはないよ〜 それでね私が狙ってるのは、最近できたカフェの無料券!だよ!早いもん順だからどうしてもほしいんだ〜』
「へ〜、で、一番高いのは?」
『少しは話聞いてよ!もう諦めてるけどさ… えっとね!確か…図書券だっけ?二千円分のだったって。』
(な!?過去問が買えるじゃないか!以前の舞y…美咲との買い物のせいでお金が心もとなかった。そこに舞い降りたチャンスだ。これは手に入れる他ない。)
「よし!参加するぞ!」
『え?急にどうしたの?やる気になって…なんか怖いから。』
「何を言ってるんだ美咲、最初から俺は乗り気だったぞ?」
『あ〜もう何でもいいや。ってことは参加でオッケーだね?』
「もちろん。参加以外の選択肢なんて存在しないに等しい。」
『あ、うん。オッケー。ビンゴ用紙もらってくるね〜』
「とびきりいいのを頼むぞ!」
『はいは〜い。』
「優、いつの間にそんなやる気になったのか?さっきまでビンゴとかやりたくないってごねていたじゃないか。」
「いや?そんな態度一つも見せてないですが?楽しみで仕方なかったですが?」
「流石にそれはむりがあると思うな。ちゃんと嫌だって言ってたのを聞いてたよ。」
「それは…あれだ、ツンデレ?みたいなやつだ。」
やりたくないって表面では言っておきながら、実際はやりたいという意味なので、あながち間違っていないはずだ。
「それで?s…優は何狙い?」
「図書券。一択。」
「優らしいな。俺はな、カフェの無料券を狙ってる。あそこ一度行ってみたかったんだよな。」
「それなら…美咲と同じか。まぁガンバレ。」
「ああ。頑張るさ。」
すっかり藤室がイケメンのことを忘れていた。危うく俺が篭絡されるところだった。
あの勢いで「それなら俺が早く上がったら確保してやるから」と言いそうになった。
本当にあのイケメンオーラは警戒しておかないと酷いことになるかもしれない。
(とにかく、俺は絶対に図書券を手に入れて見せる!)
とにかく今はこのことだけを考えるのであった。
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