雨に浮かぶ花を眺める君へ、輝かしい想い出の日々を。

第36話 強制参加（セルフ）

　支度を終える。

　そして学校に行くことが確定した今はどう打ち上げ会場に行かないかを考えても意味がない。

　それにもし行かなかったとすると、現在リビングでくつろいでる二人が何をしでかしてくるか分からない。

　そんなリスクまで負う気はない。

　今考えるべきなのは、どうやって早く帰る理由を作る、もしくは帰るタイミングを作るか、である。

「もう準備終わったぞ〜」

『オッケー早かったね？もしかして昨日の内に少し準備してたり？』

「そのとおり。何か体育大会のあとでテンション上がっちゃってさ。それで、寝れなくて朝寝坊したって感じ。」

「優らしいな。それでもう行くのでいいんだよね？」

「ん？それ以外に何かやることあるのか？」

『ないよ〜！さあさあレッツゴー！！』

「押すなって…全く。」

「それじゃあ行こっか。優、場所分かるよね？」

「そりゃあな。学校だろ。間違えるはずがない。どうして聞いたんだよ。ていうかさっきも同じこと言ってなかったけか？」

『藤室くんらしくな〜い』

「ほっといてよ…」

「いやだ。こんなドジな藤室はレアだ。クラスで今度言いふらしてくる。」

「ちょ、流石にそれはやめて。」

『ゆう君が流さなくても…私が流すから♪」

　それ絶対にニコニコした顔で言って欲しくないやつ。

　絶対に言いますよ響也さんどうしますかね？

「勘弁してくれよ…」

（まぁそうなるわな。イケメンも美咲を前にしたら無力ってことだな。）

「俺は冗談だからな？言っておくが言うような友だちって桐山ぐらいしかクラスにいないし。」

『それに比べて！私は！割と！本気だよ♪』

（え？あれ本気だったの？確かにマジっぽかったけども。なお最悪じゃん。ドンマイ響也。）

「根本的解決になっていない…」

「それは諦めるしかないな。」

「クソッ。やめてくれよ〜」

『あっ今のも噂にしちゃお！』

「あっ。ぐはっ。」

「流石にやめてやれ、あいつの精神が持ちそうにないぞ。」

『はーい。分かりましたー』

「何で俺の言うことは聞かないのに優の言うことは聞くんだよ…やっぱあれか、お前って優のことｓ…」

『あー！ストップ！ストーップ！やめて！やめてって！特にこの場ではダメッ！』

（え？なにそれすごい気になる。響也続きをぜひ言ってほしい。）

「ハイハイ、わかったから。それで優は何持ってきたんだ？」

「父の私物。」

『父の私物って何？』

「カラオケボックスみたいなやつ。両親が離婚する前はよく家族で使ってたな～　」

「ぜったそれ重いよね？あとよくそんなもの持ってるな。優の父さんって結構…」

　確かに重いのは確かだけれど嘘でも本気という雰囲気を見せなければいけない。

　あと響也そこで止めるなよ。結構重要なところだったろ。気になるだろ。

　あとその発言は一部の奴にとって語弊を生む発言はやめてほしい。

「何？あと俺の父を父さん言うな。腐女子が勘違いする。」

『アハハ！私はそういうのじゃないから大丈夫だよ～　ってもう学校だよ走ろ！』

「いや、カラオケ壊したくないし…」

　そう、こうやって打ち上げ会場まで走らされるときに備えて、カラオケボックスみたいなやつをわざわざ持ってきたのである。理由付けでもなければ、こんなバカ重いものを担いで持ってくるわけがない。

「らしいぞ。舞山諦めような。」

『そういうことなら…仕方ないな～』

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　学校、空き教室のあるはずの場所につく。どうやらここが会場のようだ。

　中がガヤガヤ騒がしい。

　正直に答えると入りたくないし、すぐにでも帰りたい。

「悪い。みんな遅れた。すまん。ごめん。申し訳ない。」

「ふざけているのでしょうか。今わざと謝罪の言葉にバリエーションを持たせたような気がしますが、実際それであっていますよね？あなた、一応遅刻ですからね？」

『まあまあ、ゆう君カラオケ持って来てくれたみたいだから。みんなで楽しも～！』

「はぁ。まあいいです。」

　会長さん、いえ星加先輩ドンマイです。美咲さんってどうしたらいいのか本当に困りますよね、分かります。

　って言えたらどれだけ気持ちが楽になるだろうか。

　さてとカラオケを設置してっと、本当に父がこういうはやりにすぐ乗っかる人でよかった。

　以前のプチブームで買ってくれていたおかげで今まさにこの場所で助かっているからである。

　でもそれじゃあ昔の局しかないのではと思うだろう。

　その点ではきっちりと対策済みである。

　ついさっき家を出る前に最新の曲をダウンロードしてきたので、遊ぶ上では問題はないはずだ。

　そして喧騒の中、体育大会の打ち上げは第二のスタートを迎えた。