第一章 変化(一学期前編)
第1話 雨降る日の遠出?
散々だった。この一か月半で俺は完全に孤立することがどうやら決まってしまったらしい。
最初から分かり切っていたことではあったが、こう現実を見てしまうと何とも言えない悲しさに襲われる。
それでも今日はいい方だった。
俺以外の雰囲気がどんよりしている。
それもそうだ。"定期考査"そういわれれば誰でもテンションは下がるだろう。
話題が考査範囲の発表の話で持ち切りだった。
いじられなくて済む、パシられなくて済む、そして嫌がらせをされていない。
なんて快適なんだろう。そういって沈む心を無理やり起き上がらせながら、呟く。
俺は特に今回の中間考査には心配はなかった。
むしろ楽しみにしている淵まであった。
もはや俺の趣味といっても差し支えない勉強。それが認められる唯一の機会だからだ。
それに俺にとって定期考査はというと…
簡単で単純、いつもやってる予習と復習の延長のおかげで、残った宿題はついさっき配られた プリント数枚しかないし、楽だ。
授業の予習の方が余程めんどくさい。え?そうでしょ?
テスト前なのだから一生懸命勉強するよりもむしろリラックスしたいものだ。
こう、人間関係が落ちるとこまで落ちてしまってる分、頭がよくて助かった。
多分これで頭まで悪かったら、俺はきっと病んでる。
それに今回のテストには一縷の望みがある。
俺の人間関係を改善できるであろう最高の希望が。
まっ、どうせうまくいかないだろうけど。
あんまり考えすぎるのはやめよう。悲しくなってくる。
帰りのHRが終わった。みんなは一斉に帰る。
俺は掃除を押し付けられる。理不尽だ。
やっと掃除が終わり、僕は学校を出る。
「は~疲れた~~~~~~~~~」
誰もいない帰り道、俺はそう叫ぶ。
傍から見たら不審者だろ俺。周りに誰もいないからいいけどさ…
ふと、着信音が鳴る。
父からのLIMEだ。
「え~何々、家に女呼ぶから、今日は18時以降は家に来るな、友達の家にとまれだあーー!?またかよ、めんどくさ。俺友達いねーんだけど?」
半ば切れるようにつぶやく。
(仕方ないだろ、父さんに心配はかけられねーもん。友達いない、イジメられてるとか絶対に口が避けても言えないしなー。よし、今日は少し遠めのところにテント立てるか。)
そう思いながら、家につく。
そして、外の倉庫から手慣れたようにキャンプセットを取り出し、ネットでテントが使える場所を探す。
あった。近くの河川敷以外だと…、隣町の広めの公園か~
とりあえずその公園のほうに連絡して滞在の許可をもらった。よかった~
(でもたき火は使えないのか~残念。
俺は焚き火用の荷物をもろもろ倉庫に戻す。
それにしても十キロか~えっ?遠くね?)
仕方ないと割り切り、隣町まで歩くことにした。
(まっ、たかが十キロだし?
朝登校がきつい以外何の問題もないし?)
念のため、傘とカッパを用意する。
今年は5月の半ばから梅雨入りらしいし持っていても損はないだろう。
さすがに調子に乗ってたかもしれない。
運動ができないわけではないけど、別に運動部ほどできるわけでもないし、さすがに学校の荷物とキャンプセットの両方もって、十キロは地獄だったな。
「はぁ、はぁ… やっと半分… って橋じゃんのぼり地獄だ~クッソォー」
もちろん、俺の叫びは誰にも届くことはない。きっつ。
お目当ての公園が見えてきた。
二時間もかかってしまった。これ本当に明日の登校地獄だな。
それはさておき、やっと着いたーと安堵する。
休む暇もなく、テントを立てれる場所に行く。そして、テントを立てる。
もう4回目なのに未だにテントの設営には苦労する。
余計につかれた。持ってきた非常食を食べる。
(冷たい…そりゃそうだけど…、たき火がほしいよー)
本当にほしい。カイロじゃ足りない。
そしてその後僕はトイレに駆け込む。もちろん大だ。
そんなのきいてない?うっせぇ
雨が降っていた。え、テントまで随分距離あるけど、どうしよう。
本当に困った。雨具全部あっちだ。
とりあえずトイレの前に突っ立ているわけにもいないので、近くの東屋に駆け込む。
ベンチにでも座るか、そう思いベンチのほうに目を向ける…
同じ高校の制服が見えた、残念なことに見えてしまった。
(あのーどいていただけないでしょうか~ はい無理ですね。ありがとうございます… クッソ。)
なんでこうもうまくいかないのだろうか。
俺はただ座りたいだけなのに。
あっ、だいたい俺のせいだわ。
もう背に腹は変えられない。
俺は、さすがに座りたくなった。もう限界だ。
学校であることないこと言われる覚悟はできた。
よっし。大丈夫だ。
「あのー、すいませんとなり失礼しますね」
俺はそう言って、できるだけ離れたところに座った。
一時間たった。何も会話はなかった。そりゃそうだ初対面だもの。
(滅茶苦茶気まずい~ 早く雨やんでくれ!お願いだから…)
同じ学校の人がいるそれだけで僕のsun値は限界だった。
どうしようと、焦る。焦るに焦る。
そうしているうちに、顔はちゃんと見えなかったが確かにあってしまった。
目が。気まず過ぎる。この雰囲気どうしようか。どうしようもないな。
(あーあーやっちゃったー また学校に俺の悪評が流れるんだろうなー)
『私この場所好きなんだよね~ 特にこの季節はお気に入りなんだ~』
横の人が話しかけてきた。
(えっ何?どうして話しかけられたの?俺に話しかける理由なんて… 分からない 全然分からない)
混乱してわけがわからなかった。
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