番外編 椎名優の華麗なる休日
この回は、ストーリーには関係ありません。
読み飛ばしていただいて結構です。
時系列的には9話の後の時間なので違和感なく読めると思います。
ちなみに登場人物について、
優は「 」、碧斗は『 』、 周は「‘’」、智弘は『‘’』という感じです。
わかりづらいとは思いますが、これで読んでいただけると幸いです。
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今日は金曜日。
そして明日は土曜日、つまり休日である。俺は誰にも邪魔されず一人の時間を満喫できるこの日が大好きだ。
一週間に2回しかないのが悔やまれる。
もっと多くあってもきっとバチは当たらないはずだ。
成績が上位の人たちは来なくて良い日とか設定してくれればいいのにと心から思う。
ともかく手始めに翌朝の8時まで寝ることにしよう。
…うるさい、リビングの方からだ。
(ったく。まだ起きてなにかしてるのかうちの父親は。いい加減寝ろよ。というか寝てくれ。)
そっとリビングの様子を覗く。
ドアが開けっ放しだったようだ。
ドアに近づく。
閉めようと思ったが、父が何をしているのかが気になった。
気づかれないようにして父の様子を確認する。
…見なかったことにしよう。
うん、父さんだってそういう事はあるよね。
分かる、分かるけど親のそういうのは絶対に見たくない。
自分で見るのは別だが、親がそういうのを見てると何か言い表せない不快感がある。
…駄目だな。ドア閉めてサッサッと寝ようか。
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朝か…まだ眠い。今何時だろうか?もう9時過ぎじゃん。流石に起きなきゃな。
背伸びをする。体を起こし、リビングに向かう。いつも通りパンにチーズを乗せてトーストにする。そしてワイドショーでも見ながら朝食をとる。LIMEの着信音が来た。前の高校の友人からだ。みんなでBBQだと!?行くに決まっているだろう。むしろいかない選択肢がない。隣の市までは少し遠いがなんてことはない。BBQの方が重要である。急いで準備を整えた俺は駅に向かって走り出した。
俺が前通ってた高校は県内では郊外のほうにある。しかし謎に偏差値は高い。それはそうと、もうすぐ目的地につきそうだ。
『久しぶり~4か月ぶりくらい?それにしてもずいぶん疲れてるね。何かあった?』
「‘確かに少しやつれてるな。何かあったか?’」
「それがさ~いじめられててね。つまりそういうこと。大体察してくれた?」
『分かった、分かったあんまり触れないでおくわ』
「助かる。」
『‘夕~碧斗~そろそろBBQ始めるぞ。もたもたしてると肉なくなるけどいいのか?’』
「それは嫌だな…ちょっと待ってすぐ行くから。周、智弘に少し待つように言ってくれ。」
「‘了解。おい智弘少し待ってやってくれ。優がまだ準備できてないっぽい。’」
同級生4人でBBQ。いや、正確には俺は同級生ではないのか?細かいことはどうでもいい。
碧斗は体育会系タイプ。周はどちらかといえばまじめな奴。智弘は俺と同じおふざけタイプである。彼らと俺を含めた4人は中学のころから一緒に遊ぶ仲だ。今回もその遊びの一環として行ったようだ。
「そういえば最近そっちで何か面白いことあった?俺はずーっといじめられてたから特にこれといったことなくてさ。でどうなのどうなの?」
『そういや俺サッカー部のレギュラーになったぜ。すごくない?』
「おっマジ?すげえじゃん。あそこなんだかんだで50人くらい部員いるもんな。その中で選ばれるのは本当にすげぇよ。でもお前ならなりそうだったからそこまで驚きはないな。」
『‘確かに~昔から碧斗って運動神経抜群だもんな。流石というより、当然って感じするわ。えーと俺はねー特にない。だってつまらないし。’』
「‘彼女できたんだよな智弘。’」
『‘いうなよ恥ずかしい’』
「え?マジなの?どんな奴?いつ付き合ったの?」
『‘陽気な奴だよ。俺と相性がいいし。’』
『惚気か?惚気なのか?あん?』
「‘そろそろ肉焼くぞ。このまま話してたら時間なくなる。’」
「『‘『はーい』’』」
俺たちは肉を食べだした。さっきみたいにバカみたいな話をしながら過ごしているとあっという間に時間が過ぎていた。やっぱり青春はこうでなくっちゃなと強く心の中で思うのだった。
(本当に最高だぜ!)
ちなみに精一杯楽しみすぎて、帰るのが遅くなり、父親に怒られたのは言うまでもない。
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