第10話 順位
今日からいよいよテストが返される。
順位は見れなくても成績はわかるのだ。
つまり、一教科一教科の点数次第で、大体の順位は予想できる。
緊張するな~
テストがすべて返却された。
自己採通りの点数だった。
よし。これはイケる。そう思った。
いよいよ明日は、テストの順位が張り出される。今からでも心臓の鼓動が止まらない。
今日寝れるかな?
あっ教室抜け出すの忘れてた…みんな俺に掃除を押し付けないでよ…俺だって早く帰りたいのに……
やっと半分終わった。あとは北側廊下と図書館前廊下だけだ。
「あー面倒くさい。誰か手伝ってくれないかな〜」
『奇遇だね?どうしたの独り言なんか言って』
「ま、舞山!?どうしたんだよ急になんか用事でもあったか?」
『いや?たまたま通りかかっただけだけど…』
「それにしては遅いな。何してたんだ?」
『図書館で自習だよ。明日の予習終わって今帰るところだったんだ〜 ねぇさ一緒に帰らない?』
「悪いな。あと北側廊下と図書館前廊下の掃除が残ってるから。」
『今日ぐらいやらなくてもバレないって。ね?』
とても魅力的な誘いだった。正直押し付けられた掃除なんてやりたくなかった俺は掃除を放りだして帰ることにした。
『それにしても珍しいね~ゆう君が私の誘いに乗るなんて。あり得なさすぎて驚いちゃったよ。』
「まあ、俺だって押し付けられた掃除なんてやりたくないしさ。やらなくていい理由をに行けたら飛びついちゃうよ。」
『そうなの?なんか残念だな~』
なんか残念とはどこら辺が残念なのだろうか?さっぱりわからない。
「ともかく、テストどうだった?」
『うん、結構自信あるよ~平均90は超えてるかな~』
「そこは俺と同じだな。これ以外と勝負の決着つかないかもしれないな。」
『そうなんだーなかなかやるね~意外と負けちゃうかも…?』
「ま、どうせ明日わかるだろ。今考えても無駄だ。」
「それもそうだな。俺は舞山以上に明日を楽しみにしてると思うぞ。俺の学校での評価の改善っていう大事な役割が今回の順位の張り出し決まるかもだし。」
『そうだね。ゆう君イジメられてるもんね~』
「あまりそういうこと言うなよ。悲しくなるじゃないか」
『別にいいじゃん。』
「良くねえよ」
_______
『やっば~雨降ってきたじゃん。どうしよう』
雨が降ってきた。
最近降っていなかったが、そういえばもう梅雨入りしてるもんな。
折りたたみ傘~折りたたみ傘っと。
あった。舞山さんは自転車だからカッパだろうか?なんでなにも出さないのだろうか。
もしかしてカッパ持ってくるの忘れたのだろうか?困っている様子だったし、そうなのだろう。
「もう家すぐそこだし、カッパ貸そうか?」
『えっ?いいのやったー!』
俺は舞山さんに、カッパを貸して玄関まで見送る。
こんな事になるとは思っていなかったが、少しあの圧鬼に恩を着せられたと思うと悪い気はしない。
むしろとっても晴れやかな気分になった。外の天気は相変わらず雨ではあるけども。
それはともかくだ。貸したカッパは明日朝とかに返してくるのだろうか?やめてほしい。だって舞山さんってくそ目立つじゃないか。そんな目立つ人に2回も話しかけられてしまえば、何か聞かれたときに言い逃れなんて出来ないだろう。
「返すのは明日の帰りでいいから」
『何で~?普通に朝一で返すよ。だってそのほうが忘れなさそうだし』
「う、うん、そうか、分かった」
意図が伝わらなかったのだろうか。なんだかすごく憂鬱である。明日が楽しみだったのに、一気に休みたくなった。
______________
行きたくない。
そりゃあ学校だし普通に授業があるから行かなきゃいけないのだろうし、何より順位発表があるので休むわけにはいかないのもまた事実である。
でも行きたくない。行きたくないのだ。
よし。チャイムぎりぎりで教室につくように登校しよう。
担任に俺の机の上がいたずらされているところが見られてしまうが、そんなことは些細な問題である。
むしろあのイケメンで高スペックな先生に気遣ってもらえるのは役得といえるだろう。
そう考えた俺は、投稿するまでの時間が少し暇になったので、模試の過去問に取り組む。
勉強が趣味だと先生にグチグチ授業中に言われても他人事だと思えるためかなり楽だ。
そう思うと俺はイジメられてよかったのかもしれない。いやよくないけれども。
一刻も早くこの状況をどうにかしてほしいけれども。
そう願っても無駄な話だ。そう割り切る。
いつの間にか結構時間が立っていたらしい。
そろそろ行こうと思い、リュックを担いで玄関のドアを開けようとする。やっぱりドアを開けるのはやめることにする。窓からちらっと顔が見えた。
(今舞山が家の前にいたよな?気のせいか?気のせいだよな。もしそうじゃなかったら怖いし裏口から出よう。)
…それにしても何でうちの前にいるのだろう?なんか悪寒がする。
そうして俺は考えるのを放棄して、裏口から学校に向かって駆け出した。
噂になっている。
どうやら舞山さんが遅刻したらしい。
俺の家の前にずっといたのだから無理もないだろう。
もしグチグチと何か言われたら、朝一で学校行ってから家に来てたことを知らなくて当然だよ。とでもいえば良いだろう。
そして昼休み。意外なことに舞山さんもとい舞山は俺に話しかけてこなかった。
やっぱりそれよりも順位見たいもんな。さーてと俺も見に行きますか。
「嘘だろ。椎名ってこんな頭よかったのか?」
「あの根暗がか?」
「確か来た時は根暗じゃなかったよね?」
「そうか?覚えてねー」
「がり勉って感じだけどまさかの1番か~wでも雄也君が一位を逃すなんてね。椎名って奴やっぱ舐めてるよね?うちらのこと。」
「気になって違う学校の友達に聞いてみたんだけど、前の高校でも頭よかったらしいよ。何ならカーストも上位の方だったらしいし」
「ちょっ?それマジ?あの椎名が!?信じらんね~
…別のやつなんじゃないの?」
「だよね~ 有り得ないありえない。」
やっぱりな。軽く騒ぎになっている。俺の点数をあがめるがいい。そんな気分だ。順位はーっと…よし、
第二学年 中間考査 順位表
一位…椎名 優 11? ?点
二位…楢川 雄也 1164点
三位…佐伯 詩乃 1134点
四位…榎本 久留美 1128点
五位…藤室 響也 1108点
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予想通り一番を取れた。
あいつは舞山はどうなのだろうか?
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