第4話 下らない日常と恐怖

 



 張り切って学校に登校したのはいいものの、足がパンパンだ。

 でも、一番に学校についたこともあり、机にイタズラがなかった。良かった。


 昼休みに入り、食堂のほうがうるさくなる。俺は勿論自炊してきている。

 周りには未だにお母さんに作ってもらっているマザコンと思われているみたいだが。


(母親に弁当作ってもらってたとして、それでマザコンって決めつけるのはおかしくね? あと、俺母親もういないし。そんなこといわれても逆に悲しくなるだけだ。)


 我ながら寂しいことを思い浮かべて自分の作った手料理を食べる。

 普通に美味しく作れていると思う。

 料理男子がモテるというのに疑問を抱く。

 本来はモテるはずなのだけれども、それでも疑問に思えてしまう。何故だろう。


 今日も孤高に(寂しく)ボッチ飯。

 本当は人気がなく目立たないようなところで静かに昼食を食べたいのだがそういうわけにもいかない。

 だって机にイタズラされたくないし。

 俺は自分の机を守護する守護神として絶対に動くことはできないのだ。


 そして昼休みが終わり、五時間目の授業を受ける。

 この学校では、2年生以降から文系、理系にクラスが分けられる。

 1から3組が文系、4から6組が理系というふうになっている。

 俺は5組すなわち理系だ。

 そして次はその選択科目の一つ物理の授業がある。

 でもこの授業は正直受ける意味がない。

 なぜならハズレの先生が教鞭をとるからだ。

 この先生は生徒に教える気があるのだろうかといつも思う。

 マジレスすると、文字が小さい、字もグラフも汚い、

 滑舌悪すぎて何を喋っているのが聞き取れない…

 他にも沢山有り過ぎてキリがないほどだ…

 案の定クラスの半数が眠りに入った。

 四分の一は内職をしている。

 真面目にこの物理の授業を受けているのは俺ぐらいだろう。


_______



 やっと物理の授業が終わる。地獄だった。


 次は数Cか〜と教科書とノートを出す。

 俺は前回、練習問題の(19)と発展問題の大問8を当てられたはずだ。

 あれ?おっかしいな〜なんで俺だけ2問も当てられているのだろうか。

 前回の答え合わせのあとにも俺は2回も当てられた。

 常々思うが俺って授業中当てられる回数多くない?


 最後は模試の受験票を書くらしい。

一瞬で終わったので、残ってた今回の分の考査範囲の課題をすべてを丸付けを含めて終わらせる。 

 あーつまんね。暇だよ暇。本でも持ってくればよかったー。ちぇ。



_______



 帰路に立つ。

 家に帰ろうと思い立ったその瞬間に嫌な思い出が蘇る。

 あっ、テントとか諸々取りに行かなくちゃ。

 一気に気分が沈んだ。誰かやっといてくれないかなー無理ですよねー。

 知ってまーす。


 ふぅ。疲れた。20キロ歩いた俺を褒めてほしい。

 辛すぎる。

 こんなことなら二回に分ければよかったと後悔した。


(あれっ?椅子がない?マジか一つ忘れてしまったのか。だる過ぎ…)


「はぁ~、来週の月曜日にでも取りに行くかぁ〜

あ~~面倒くさいー面倒くさいよー」


 俺の声が誰もいない静かな家の中に響いた。


 そして3日後の月曜日の放課後。


(あー取りに行くのめんどくせー)


 そう思いながらあの公園まで向かう。


(そういえば、前テント取りに来たときは、舞山さんいなかったよな。っていうか普通はいないのか。)



_______




 疲れた。その一言に尽きる。

 何が悲しくてこんな何回も車で行くようなそれなりの距離を歩かなければならないのだろうか。

分かっている。全ては自業自得だ。責任転嫁もできない。辛い。


 俺は折りたたまれた椅子を片手に持つとダッシュで家に帰る。

 とにかく早く家に帰りたいからだ。

 しかし残念なことにすべての信号で止まってしまった。

 ホント今日はツイてないなー。

 死にそうなほどキツかったがなんとか家まで着いた。しかし安心だ。


 それも束の間、俺は後ろから掴まれる。

 俺なにか悪いことしました?怖いんですけど?

 もしかして殺される?背筋を凍らさながら相手の動きを確認する。

 どうやらすぐ殺すつもりはないようだ。

 そんなことを思っていると、俺を掴んでいる犯人の方から声が聞こえた。

 あれ?…どっかで聞いたことある気が…


『ちょっ、全っ、力っ、でっ、走っ、りっ、過っ、ぎっ、だっ、てっ』


「この声は…舞山さん!?」


 一気に緊張が晴れる、それと同時になんとも言えない恐怖感に襲われた。


(何で舞山さんついてきてるのーー?)


 後ろを見る。

 そこには昨日あったばかりの舞山さんがヘロヘロな様子で立っていた。


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