第48話 独白。




 どこに昼を食べに行くか決めてなかった俺達は、特に何も考えず、(俺は仕返しを考えていた)適当にぶらぶらしていた。


「なあ、このまま歩いていても意味ないと思うんだけど気のせいか?」


「まっ、なんとかなるでしょ。根拠ないけど。」


『そうそう、なるようになるって!』


「流石にどこで食べるか考えたほうがよくないか?」


「そうだぞ。なるようになるって、見つからないようになるだったらどうするんだよ…」


「そんなことよりもこの僕の顔に酔いし…」


「先輩?先輩はダメダメってことでいいのかな?」


「あ、…すいません、、」


「ナルシスト自称副会長はさておき、本当にどこで食べるか決めようぜ!」


 ナルシストで副会長と言われてはいる人が、本当にどうでもいい。

 それよりも今は飯である。


「もういっそファミレスで良くね?そんな大層なところ行く必要ないだろ?俺は正直どこでもいいわ。な?優?」


「さっきの仕返しか?なら俺も隆二って呼ぶけどいいの〜?」


「ムッむしろ大歓げ…別にいいけど、それより優はどこで食べてもいいよな?」


「あ、ごまかした。ごまかしたな〜…まあいいけどさ?あ、何だっけ、食べる場所だっけか?俺はどこでもいいよ。」


『ゆう君!桐山君!どしたの?』


「えーっと、食べる場所とか正直どーでもいいから適当にファミレスに行こうぜって話だった気がするよ。」


『何で藤室君が答えて、ゆう君と桐山君の二人が答えないの!』




______________





 一方その頃…


「私達、空気ですね。」


『それ、一番言われたくなかったです…』


「本当に…、そうだ、よ。」


「ところで佐伯さん。あなたもしかして椎名さんのこと…」


『そうですよ。なにか悪いですか…』


「えっ、。そう、なん。ですか…?」


「理由を聞いても?」


「はい…6月のある昼休みのときに彼と私は出会いました。椎名さんは覚えてないかもしれないですが、私ある3年の先輩に詰め寄られていて…」


「あ、、それ…聞いたことある。…」


「もしかしてあの時佐伯さんがおっしゃっていた助けてくれた生徒って椎n…」


「はい。椎名さんです。」


「そういうことでしたか…しかし椎名さんはあなたの視線をストーカーだとか言って怖がってましたよ。『疎まれて狙われてるんだ〜』というような事も言ってましたね。」


「えっ!?そうなんですか……」


「あっショ…ショック受け、ちゃって、る。…ど、どうしよ、う…。」


「はぁ。もういっそその気持ちを伝えればいいと思いますが?そうすれば今の問題も両方とも解決しますし…返事もいらないって伝えればいいと思います。そうしたら傷つくことも無いでしょうし、運さえ良ければ進展があるかもしれませんよ?取り合えずそのまま迷っているのはやめておいたほうがいいです。」


『で、でも…』


「後悔するかもしれませんよ。私には経験がないので良くわかりませんが、挑戦して後悔するよりも、何もしないほうがより後悔することになりますよ。そういう経験がありますから。」


「…っ」


「言い方を変えましょうか。美咲さんに取られてもいいんですか?」


『それは…うう…分かりました、頑張ります。』


「そうですか。応援してますから。頑張ってください。」


「ぼっ僕だってお、応援してるから。」


『はいっ!』


 


______________





 そんなことは露知らず、俺達は


「別に俺、話半分でしか聞いてないから良くわかんなかったし…聞かれて言っても、多分適当なこと言ってたと思うぞ。」


『確かにそれなら言わないほうがマシだね。』


「酷っ。えっ酷くない?扱い雑過ぎて泣けてくるんだけど?」


「そんなもんじゃね〜の?知らんけど。」


「そんなんで泣いてたら社会で生きていけないよ。」


「正論ぶち込んでくんなよ!あ〜これが四面楚歌ってやつか…」


 あ〜辛い。

 って言っても正直そこまで辛くはない。

 でもなんか俺の扱いが最近だんだん雑になってきているように思えてならない。

 そういえば、桐山…隆二も同じような目に最近あってた気がする。その原因は良く考えたら俺だ。

 自業自得なのだろうか?いや、何も悪いことはしていないバズ?


「コホン。え〜っと取り合えずファミレスで決定でいい?」


『あ〜ゆう君話題そらした〜』


「別に俺はそれでいいよ。でも一応他のみんなにも聞いてみたほうがいいと思うよ。」


「藤室の言う通りだな!よっしゃ今から聞きに行こうぜ。な、椎名?」


「でもあれ…なんか話ししてない?俺らが突っ込んじゃダメな話だったらマズくね?」


「普通そんな話を今こんなところでしないだろ。ほら、行くぞ。」


「響也〜、美咲〜お前たちも道連れだ〜!!」


「『はいはい』」


 本当に桐山には困ったものである。

 このノリでいろいろやるのをやめれてもらえないだろうか。

(…そう言えば俺もノリでやることが多いな。

 人のこと全然いえなかった…すまない桐山お前だけ悪いみたいな言い方しちゃったな。いや、実際してないけれど。)


「おーいっ!会長!斉坂先輩!あと…佐伯さん!昼食一番近くのファミレスでいい〜?」


『えっ!?あっいや、べっ別にいいですよ。アニマルカフェ以外に特に行きたいところはないので。』


(あれ?何でこんなに驚いているのだろうか?やはり俺の考えは合っていたということだ。俺の目は節穴ではなかった!嬉しい…って思ってる場合かよ。これ結構マズくね?)


「うっ……、うんそれでそれでいいと思う。」


「えっええ。そうですね私もそれでもいいと思います。他のみなさんもそれでいいなら私は特に文句はありません。」


『みんな何で驚いてるの〜?教えてよ〜、ね?』


(美咲さんや。流石に分かるだろ、俺達に聞いてほしくない話をしていたことぐらい…もしかしてこいつって鈍感?)


「美咲…これは聞いちゃだめなやつだ。」


『え?どうし…』


「察しろ。それ以上言っちゃ駄目なことくらい。」


 まだ美咲は良くわからないようだ。

 本当に美咲は鈍感なのだろう。

 そういえば俺も前に鈍感って言われてたな。

 みんなもこういう気分だったのか…

 少し他のみんなに申し訳ない気分になった。

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