主人公
剣聖が容易に敵を打ち破っていたころ。
「……ふぅー」
「……」
アセレラも一人の騎士と剣を互いに突き合わせていた。
剣聖が打ち破りし相手と同格の力を持った際立った実力者である騎士だ。
二人の間には極度の緊張感が高まり、互いに実力者だからこそわかるギリギリの緊張感を共有し合っていた。
「……っごく」
既にアセレラは初陣を済ませている。
姉であるシスと共に敵の部隊を一つ。壊滅状態に陥らせてからやってきており、人を殺すことに緊張しているわけではない。
ただ、自分よりも強いかもしれない強者と戦うことは初めており、アセレラは恐怖とも武者震いのようなものを抱いていた。
「我が名はオーガスト・テンタール。汝、名前は?」
そんな中、突然アセレラの前に立つ騎士は口を開いて自分の名前を告げると共に名前を聞いてくる。
「えっ、あ……アセレラです」
「アセレラ……良き名であるな。一見はただの少年にしか見えぬが、こうして剣を突き合せればわかる。汝は良き武人であると」
「……あ、ありがとうございます」
アセレラは突然語り出した騎士ことオーガストに対して困惑しながらも言葉を返す。
「よくぞ、その若き身でそれだけの強さにまで上り詰めたっ!だからこそ、我も本気で迎え撃つとしよう」
アセレラとの会話を終え、満足げに頷き終えたオーガストは剣を握るその手へと再度、力を込めてゆっくりと自分の下半身に力を溜めていく。
「いざ……」
嵐の前の静けさ。
向かい合う二人の間に走る緊張感が高まる。
オーガストの口より出てくる小さな二文字と、じゃりじゃりという彼の足の裏が地面をこする音だけがアセレラの耳に届く。
「尋常にっ!!!」
爆発。
ため込まれたオーガストの力が解放され、その爆発的な力と共に彼の身体が前方へとはじき出される。
「い、いざ……尋常にっ!」
それに対して。
「ぬおっ!?」
場慣れしていないアセレラは困惑しながら、それでもその手にある剣に白炎を灯らせて相手を迎え撃つ構えを取るのだった。
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