戦闘
アセレラとシス。
共に倒れ伏す二人の前で素手の僕が自然体のまま悠然と立つ。
「さて?こんなものか?」
「ぐ、ぐぬぬ」
「……ッ」
不敵な笑みと共に口を開く僕に対して、アセレラとシスの二人は倒れ伏していた体を起こす。
「今度は……油断しない」
「少し驕っていたみたいですぅ……大丈夫です。次はしっかりとやります」
そして、そのまま二人はしっかりと剣を構えてくれる。
「良いね。来なよ」
そんな二人を前にして、相も変わらず不敵な態度を崩さない僕はゆっくりと両手をただ広げる。
「……しッ!」
そんな僕に対して、先陣を切ったのはアセレラであった。
彼はその手に握られている剣へと魔力ではない白い炎を宿しながら、僕へと勢いよく剣を振り下ろしてくる。
「っとと」
これが主人公の力であり、チート……白い炎。
うーん、これは触れない方が良いな。
僕はかなり余裕をもってアセレラの攻撃を回避する。
「はぁっ!」
そんな僕へと、アセレラの影に隠れるように迫ってきていたシスが剣を振り下ろしてくる。
「軽いな」
それを僕は片手で受け止めてみせる。
「ッ!?」
僕の手の平から血が流れ、シスの手にある剣へと伝っていく中……彼女は迷うことなく剣を手放して僕から距離を取る。
「随分と警戒されたようで」
「はぁっ!」
僕からシスが離れていく中で、拳を握ったアセレラがこちらへと迫ってくる。
「剣はシスか」
白い炎を纏ったアセレラの拳を手で払った僕は、自身の手が焼けたことにも気にかけず視線をシスの方に送る。
アセレラの白い炎は間違いない脅威……だが、技術がまだ覚束ない。今のところは僕の脅威足り得ないな。
問題は、しっかりと技術を持つシスの方だろう。
「はぁっ!」
僕は元々、彼女の手にあった剣を握るとシスの振り降ろした剣を握ると、再度振り下ろしてきたシスの剣を受け止める。
「はっはっは!ついてこれるものならついてくるが良いっ!」
そして、そのまま僕はシスの剣を強引にはじくと共に、立ち位置を変えて彼女へと斬りかかっていく。
「くっ」
うまい。
態勢を崩してもしっかりとシスはくらいつき、そのまま僕との打ち合いに興じる。
「お、俺は……」
僕とシスの激しい剣と剣のぶつかり合い。
それを端から眺めるアセレラは何も出来ずに立ち尽くす。圧倒的な高火力である彼の拳では自身の仲間であるシスも巻き込んでしまう可能性があるからだ。
「足元がお留守だな」
変わる変わるに立ち位置を変え、シスの四方から僕が攻め立てるようになっていた中で、止まってしまっていた彼女の足を強引に自身の足で払う。
「きゃっ!?」
「よっと」
そして、そのまま僕はシスの腹へと蹴りを叩きつけて吹き飛ばす。
「ぐふっ!?」
その先にいたのはアセレラである。
「お、重い……」
「はぁっ!?ちょ、お姉ちゃんに何をっ!?」
「及第点」
シスのクッションになったアセレラが重いとボヤキ、それに激昂する彼女を見ながら、僕は冷静に評価を下すのだったえ。
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