街中
僕がリレーシアと話している間にも、自分が独立宣言して大量の貴族を殺したことは知れ渡っていた。
そんな中で、街中においては多くの人が動き回り、話し声を上げていた。
「常々軽んじられてきたルリック辺境伯家。そこで生まれた一人の麒麟児がとうとう国へと歯向かい、己が存在を天へと示す。これより始まりしは偉大なる覇王の物語」
人々の声の中でもひと際大きいのが自身の声を魔力で拡散する吟遊詩人である。
彼は街の中で楽器と共に歌として僕の物語を謡っていく。
そして、吟遊詩人が歌い終えると共に歓声があがる。
「ひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーっ!我らがこれが我らノア様のご意志だっ」
「ノア様万歳っ!ルリック辺境伯家万歳っ!」
「我らに栄光があれぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!」
「おぉ……かつての、かつての栄光が、ようやく取り戻られるのか。とうとう、悲願の……ノア様ぁ!」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
民衆たちにあるのはこれからに対する不安よりも熱狂の方が近い。
これまで一般開放した演劇場やオーケストラにおいて、民衆の愛国心を煽っている上に、僕個人の人気は最高潮だ。
これまでの自分の苦しい生活。
それをすべて打ち破り、竜殺しも成し遂げたドラゴンスレイヤーである僕に寄せらえている人々の信頼の言葉はかなり強い。
僕のした行いだから、これだけで支持している人々も多い。
「……凄い熱気ね」
そんな熱気を前にするリレーシアが驚きの声を上げる。
「だろう?僕の作った施設による愛国心の植え付けはかなりうまくいっているようだ」
リレーシアと共に屋敷のバルコニーから街の様子を眺める僕は満足げに頷く。
自分の予定通り、民衆の熱狂と自身への強い信頼を作り出すことに成功した。
「……ッ!?」
「結局のところ、勝利を引き寄せるのは強い気持ちだ」
確信と共に言葉を呟く僕は、今後の軍事戦略も合わせて自分の頭の中で立てていくのだった。
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