作戦会議

 この領地にいるのはほとんどが僕に従順な部下たちである。

 元々仕えていた者たちはもちろん、故郷の惨状を大きく変革させた僕に全幅の信頼を寄せているし、多くの事情を抱えた結果、自分に拾われた面々もこちらに対して強い信頼を向けてくれているだろう。

 少し怪しいのは傭兵団たちだろうか?でも、彼らも勝てると踏めばしっかりと戦ってくれるだろう。


「さて、作戦会議を始めようか」


 そんな領内の中で、僕はこの会議室の中に集まっている多くの部下たちの前で声を上げる。

 こちらへの強い信頼を持ってくれる彼らは素直に自分の言葉を聞いてくれる。

 大国であるライヒに喧嘩を売った、それを聞いても


「まずは敵の情報について説明していくよ……まずは僕が作った地図を見てくれ。魔法でしっかりと裏取りもしているので間違いないはずだ」


 ゲーム知識を元に、実地でも確認して作った自領も含めたライヒの地図。

 それを会議室の机に広げながら僕はみんなに説明を加えていく。

 語っていくのはこちらに攻めてくるであろう敵の情報。

 辺境を守る他の辺境伯は動かない、大きな被害を受けていない四大侯爵家のうち二家は大々的に動かない。

 当主を殺された貴族も、メンツをつぶされた王家も動く。


「……こうしてみると、かなり相手の補給は厳しいのじゃないかしら?」


 僕の説明する言葉に対して、リレーシアが口を開く。

 ちなみにこの快楽堕ちツンデレエルフは僕の側近ということでかなりの発言力を持っている。


「そうかもしれないですね。それに、貴族たちにもメンツがありますし、俺が俺がとなって統率も取りにくいでしょう」


「でも、私であれば補給もなしで十日は戦えるよ?別に補給なんて要らない」


「それは剣聖殿がおかしい話でしょう。補給もなしに戦えるような者はかなりの少数でしょう。そんな飛びぬけた実力者は数少ないでしょうし、それに対しては剣聖殿にお願いできれば」


「うん、わかった……確かに、そうだね。私の弟子の二人も良い感じだし、トップであるノア様もすっごい。確かに、あまり心配するようなことじゃなかったかも」


「あぁ、そうだ」


 部下たちの会話。

 それに僕は混ざり、剣聖の言葉に頷く。


「敵は強大だ。だからと言って、過剰に心配するような相手でもない。弱点はあまりにも多い。我らで敵の弱点を突く術を探していこうではないか」


 僕は自分の部下たちの前で心配する必要はない。勝てるのだと声をかけながら、作戦会議を主導していくのだった。

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