戦略
リレーシアに対して、勝てると断言した僕はそのまま言葉を続ける。
「端から僕はライヒと全面戦争するつもりでいたからね……というより、あそこで丁寧な態度を取ってもどうせ戦争になるのだし、徹底的に指揮系統を壊滅させてやったほうがいい。トップである当主が死ねば指揮系統が多少はごたつくだろう」
「当主が死んでも、次期当主として予め代替わりの相手くらいは決めているでしょう?確かに混乱はあるでしょうけど、そこまで致命的なものになるかしら?」
「だからこそだよ。その第一陣を潰せれば勝てる。トップが死に、次点が情けない姿を晒すか死ぬ。その時点で後継者問題が起こるに決まっている。それが起これば僕の勝ちだ」
「……でも、勝てるの?」
「勝つしかない」
答えはこれになる。
相手の継戦能力を断つには自滅させるしかない……が、我が家の能力じゃ流石に守り切るのが精いっぱいで逆侵攻は無理だろう。
「基本的な方針としては、こちらを舐めくさって無策に突撃してくる阿保を返り討ちにし、そのまま内部崩壊させる。指揮系統が若干混乱しているであろう怒り狂った貴族たち。対処できないほどの相手でもない」
この為だけに戦力を集めているのだ。
負けるつもりはないし、そもそもとしてまず負けないだろうと踏んで僕は行動に踏み込んでいるのだろう。
「でも、そもそもとして殺せていない貴族の当主もいるのだろう?そこの貴族が群れをなして狙って来たらどうしようもないのではないか?」
「そいつらは周りの貴族家から利権を奪い取っていくだろうよ。わざわざ僕を狙い打ちしてくることはないな」
愛国心が強いものや、元から持っている力が強すぎる奴などは優先的に狙って確実に命を削っている。
問題はないだろう。
元より、貴族はどちらかというと王のために!国のために!というよりも自分の領地の為にという意識の方が強いのだ。
「他国の介入は?」
淀みなく答えていく僕に対して、リレーシアは次々と疑問点を投げかけてくる。
思いついた懸念材料をすべて聞いているかのような勢いだ。
「もっとあり得ない。ライヒが弱体化することに反対する者の方が少ないだろう。既に我が家と国境を接する隣国には不干渉を貫くよう交渉を終えている。問題はゼロだろうね」
わざわざうちにちょっかいかけてくるような奴はいない。
他国からの介入を警戒する理由はない」
「……あれ?なんか、行ける気がしてきた」
僕の話を聞き終えたリレーシアは若干、僕の説明に流れているのだった。
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