竜
「ふわぁ……」
「……よく、移動しながら眠そうにできるわね」
大魔の森林から竜の住まう鉱山へと向かう道中。
大きくあくびを浮かべる僕に対して、自分の隣を進んでいるリレーシアが呆れながら口を開く。
「移動中でも眠いものは眠いでしょ」
「これだけの高速移動中だと、眠たいものも眠くなくなるわよ!
「そうかな?……そうかも」
今の僕たちの移動速度は新幹線を遥かに超え、リニアと同じくらい。
それだけの速度で駆け抜けながら、その道は何の舗装もされていないただの自然だけなのだ。
木にもぶつからず、周りに被害も出さず、かと言って速度は落とさず。
これだけのことを
「まぁ、僕の魔力操作は既にトップレベルだから」
「なんで貴方はそこまで魔力操作が上手いのかしら?貴方のくせに」
「勘と人体理解度」
単純に僕のセンスが良いというのもあるが、魔力は身体の強化に使うツールなのだ。発動先である体のことを詳しく知っている方が当然、無駄なく強化できるに決まっている。
その面では幾度も人をバラして科学的に構成を知っている僕の方は無駄なく
というか、そもそもとしてこの世界の人間の魔力操作クソ雑なんだよね。
もっと色々な使い方出来るのに、それを一切しない。普通にふざけているのかな?って思う。
「人体理解度?」
「ほら、ここらで無駄話は終わり。もう着いたからね」
リレーシアと雑談を繰り広げている間に竜の住まう鉱山群へとたどり着いた。
「この上にいるから。一気に登るよ」
「良いわよ」
僕はリレーシアと共に一気に山のふもとから中腹にまで移動。
大した労もなく駆け上って見せる。
「いた」
木が生えそろう山の中腹においてぽっかりと木がなく、実に大きな広場となっている場所で。
光沢のある黒い鱗を持った一匹の竜が丸くなって眠りについていた。
「……大きいわね。あれだけの大きさの龍は私でも初めて見るわ」
「そうなの?そこまで大きいの?」
「大きいわね。正直に言って……勝てるかどうか怪しいレベルよ」
「……ふーん。まぁ、でもあまり僕の敵じゃないかな?しっかりとサポートのほど、よろしく頼むよ?僕の奴隷くん?」
「……別にそれはいいし、当然だけど……本当に大丈夫なのよね?」
「大丈夫だから、そんなに心配しなくいいよ……それじゃあ、行くよ!」
「仕方ないわね!どこまでも私は貴方についていくわよ!」
「それでいい。それじゃあ、行くよ」
僕はリレーシアを伴って、勝手に我が領地の大事な鉱山を占拠している竜の元に降り立つのだった。
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