リレーシアが快楽堕ちしながらのツンデレエルフになってから早いことでもう一か月。


「うーん」


 僕はリレーシアと共にする食事の席で、現状について頭を悩ませていた。


「もう十分か」

 

 既に我が領すべてに運搬された魔物肉による配給が貧困層に配られ、飢餓が大幅に減ると共に大魔の森林における魔物もかなり間引き出来た。

 これだけ間引き出来れば森林から飛び出して街や村に被害を出すようなこともなくなってくれるだろう。


「……えっ!?も、もう私の仕事は終わるのか!?」


「悩んでいる。お前……このまま僕がいなくなった後も大魔の森林で魔物を狩り続けろと命じられて、そのまま続けられる?」


「えっ……む、無理よ!貴方なしの生活なんて考えられないわ!もう一日に最低一回は貴方に慰めてもらわないと!」


 僕の言葉に対してリレーシアは全力で首を横に振って否定する。


「不便なユニットになりやがって……」


「ごめんなさい……でも、でも捨てないで。何でもするから。貴方と一緒にいれるならもうなんでもするからぁ」


「お前は僕の護衛として、別での戦力も集めないとな」


「……ッ、や、やっぱり貴方の護衛には頼れる私が必要よね!まったく、仕方ないんだから」


「うるせぇ」


「ごめんなさい」


「そこでなんでお前は調子乗る?」


「だ、だってぇ!」


 この微妙なツンはなくなってくれないだろうか?


「まぁ、良い。とりあえずは別のことをやるからな」


 大魔の森林へといの一番にやってきたのは食糧問題も一緒に解決出来ると踏んだからである。


「何するの?」


「我が家の鉱山に居座っている竜を殺す」


 当分の食い扶持を確保できたのならば、次に考えなければならないのは産業。雇用になるだろう。

 いつまでも失業者が大量に溢れているような事態にするわけにもいかない。


「ここも早急に解決しないとな。これ以上、ここの問題を放置していたら我が領にいた良質な炭鉱夫たちが全員死んでしまう」


 竜が鉱山を占拠するようになったのは今から五十年近く前だ。

 既に当時、働いていた炭鉱夫たちは残っていない。

 一からまた技術を積み上げていくことになるだろうが、その過程に過去を知る先駆者がいるのといないのとでは全然違う。

 僅かにでも経験者が残っている間に炭鉱を開放したい。


「……鉱山、で良いよな?水に関しても今はまだ地下水でなんとかなっているし、水運も産業がなきゃ意味ない。人手不足も他者からの軽んじもどうしようもない。うん。大丈夫、よし。鉱山の方に行こうか」


「わかったわ」


 僕は次にリレーシアとやることを決めるのだった。

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