宣言
ロロ子爵家へと喧嘩を売り、代替わりを発表することとなってから本当にすぐ、僕は国王陛下の方から王都に来るようとの命令が下された。
その命令に大人しく従った僕は
まぁ、元々僕は王都の方にやってくる理由があったからね。
我らが祖国だる世界に覇を唱えんとする大国ライヒが王都。
そこでは今、頂点に君臨する国王と、その下に傅く数多の貴族たちが一堂に会する年一企画である王帝会議が行われているのだ。
元よりここに出席するつもりだった僕としては王都に来るまでは想定内だった。
「ルリック辺境伯が嫡男……いや、今はルリック辺境伯閣下、と呼ぶべきだろうか?」
と、言うわけで王帝会議へと参加していた僕はこの場の中央で跪くよう命じられた上で、老の男性がゆっくりと声をかけられいた。
「本国への通達もなしに行われた生前継承。どういうことか、ここで説明してくださりますかな?」
僕の方へと向けられる初老の男性の視線にも、言葉にも、しっかりとした侮蔑の色が込められている。
「此度の件について、聞きたい諸君らの気持ちもわかる」
それに対して、これまで跪いていた僕はゆっくりと立ち上がりながら口を開く。
「だが、我から告げたいのはこれまで、諸君らが我が家にしてきた不当なる態度への疑念。説明をという旨の要求である」
「……っ!貴様!何を考えている!国王陛下の御前で頭を上げて口を開くなど!なんたる無礼かっ!」
堂々たる態度で言葉を話す僕にに対して初老の男性が声を荒げてくる。
それだけではなかった。
僕を囲んでいる周りの貴族家が当主たちも自分に向けて不満と憤りの視線と呟きを漏らしている。
「はて?この我がそこの朦朧したジジイの言葉の言うことを聞かねばならぬ道理が見えぬな」
そんな中でも、僕は決して臆さない。
僕は一切引かず、傲慢たる態度ではっきりと殿上の人である国王への侮蔑の言葉を口にする。
「な、何様のつもりであるがっ!」
そんな僕の言葉に初老の男性が激昂する。
「うるせぇ」
それに合わせて、僕は動き出す。
魔力を具現化させて作り出した巨大な剣を持ち、僕は勢いよくこの場で振り回す。
僕の剣はこの場にいる多くの貴族たちの命を消し飛ばしながらていく。
貴族の命だけではなく、王城の最上階たる玉座の間さえも破壊しながら。
「すぅ、聞けっ!!!我、ノア・ルリックはライヒからの独立を宣言する!今日、この日より我こそが覇王である!」
血の傘下。
王城が崩れ、混乱が広がる中で僕は叫ぶ。
「我は何もせぬ!我らを軽視していた帝国にも、だ!我らはただそこに立ち、そこに暮らす!己からの攻勢などない!だが、諸君らが我らに対して宣戦を布告するというなれば迎え討とう!我らが一族の力をとくと知ることになるだろうよ!」
崩れ去る王城の中で、僕はあえて軽く踊りながら空へと飛び出しながら、言葉を続ける。
「それではごきげんよう。たった今より同胞ではなくなった諸君。此度の一撃はこれまでの挨拶である。過去にはあまり縛られぬように、私も、諸君も」
そして、一方的に言葉を終えた僕はそのままその姿を忽然と消すのであった。
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