激闘
「リレーシア」
「わかっているわよっ!」
空へと飛びあがった竜。
そんな竜に対して、リレーシアは勢いよく弓矢を飛ばしていく。
「がァァァァァっ!?」
勢いよく飛び上がった竜に向かって放たれる強力なリレーシアの弓は確実にその体を貫いて出血を強要する。
「流石に弓だけじゃ削れないか」
だが、倒し切るまでには至らないだろう。
「……少なくとも半日はかかるわね」
僕の呟きにリレーシアも同調し、後半日はかかると断言する。
こんなところで半日も待っていられるわけがない。
「リレーシア。竜と遊べ……僕はしばし、魔力を溜める」
そんな中、僕は隣にいるリレーシアへと命令を一つ。
「……へっ?」
そして、そのまま僕が後方に下がって気配を消し始めると共に、本当にちょうどのタイミングで竜が動き出す。
「ちょっ!?」
空高くに浮かぶ竜は攻撃態勢へと移り、その口より地上に向かって火炎を吐き始める。
「あっついわねっ!?」
リレーシアは忌々しそうに口を開きながら逃げ出し始める。
炎から逃げるように広場を駆け抜ける彼女はそれでも弓を握り、幾度も矢を竜の身体へと打ち込んでいく。
「こちらの攻撃は大したことないのに、相手はほぼ一撃で決まるのズルでしょ!」
大量の弓矢を撃ち込みながら、それでもあまり効果はないという現状に不満を吐露しながらもしっかりと戦ってくれる。
その戦いぶりも、竜の吐く火炎から逃げる動きも、そのすべてに無駄がなく美しい。
「……」
そんな中で、僕は自身の魔力を体内に溜めていき、しかるべきに一気に解放出来るようにしていく。
「……目は、潰しちゃ駄目よね。勝たなくていいなら、出来るだけうざったくいくべきべきよね!」
しっかりと僕に攻撃が来ないような立ち回りで戦ってくれているリレーシア。
そんな彼女の戦いが始まって十分足らずの時間で。
僕の準備がようやく終わる。
「リレーシア!もういいよ!防御態勢……いや、寒さに備えて魔力を高めろっ!」
「は、はいっ!」
僕の言葉にここまで頑張ってくれたリレーシアが頷くと共に、こちらも行動を開始する。
「吹き荒れろ」
二度。
竜に魔力を吸われないように一撃で。
「絶対零度」
衝撃を吸収する周りの魔力を一気に、大量に竜の周りへとぶちまけていく。
そして、それによって引き起こされるのは圧倒的な極寒。
絶対零度にまで限りなく近い極限の温度、絶対零度まで後、わずか十億分の一度というレベルにまで一気に温度を下げていく。
空気をも凍り付かせる冷凍が吹き荒れるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます