剣聖
異世界での戦争において。
軍隊VS軍隊の集団対決も勝敗を決める上での重要な要素ではあるが、異世界だと更にここへと一つの要素が追加される。
それが個での勝負である。
王家の軍勢をすべて片付けたゼーアのように一人で戦略を覆しかねない強者も存在しているのである。
「……剣を持ったエルフ」
そんな実力者のうちの一人。
ルリック辺境伯領へと看過できないダメージを与えるために動いていたたった一人の騎士。
剣の一振りで山を斬ったとも語られている最強格の騎士は今、足を止めていた。
「まさか、お前が剣聖か」
そんな騎士の前に立っているのはぼろ布に身を纏っているその手に一振りの刀を握っているエルフであった。
「うんっ。そう」
剣聖。
過去より今に至るまでそう評されてきたまさしく伝説上とも言える圧倒的な存在。
それを前にする騎士は冷や汗を垂らしながら剣を構える。
「ど、どうしてここに」
「ノアに頼まれて」
「……ッ、そうか。剣聖は敵か」
「そういうことだね……だから、殺すね?」
剣聖、彼女はゆっくりと剣聖の方に歩き出す。
「クソったれ……、悪いがここで死んでもらうぞぉっ!剣聖っ!」
騎士は伝説上の存在とも言える剣聖に対して震える体を鼓舞しながら剣を構え、彼女の方へと剣を構えながら迫っていく。
「……」
剣聖は何も変わらない。
速度も変えず、重心も変えず。
ただ真っ直ぐに歩いていた剣聖は騎士が迫ってきても何も変えることはなく。
「遅いっ」
「……はっ?」
ただ、自分の間合いに騎士が入ったその瞬間に首を飛ばし、そのすべてを終わらせるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます