森
ルリック辺境伯領を進軍するライヒの軍勢が街や村で壮絶な戦いが繰り広げられている中。
その進軍中においてもライヒの軍隊は苦戦を強いられていた。
「……クソっ!?敵は一体どこにいると言うのだ」
進軍途中にあった森の中を進む騎士たちは見えない敵に悩まされていた。
「あぐっ!?足がァァァ!?」
「ばかっ!?だから慎重にうごけとぉっ!」
「弓だっ!弓が来たっ!そっちだっ!魔法を撃てぇっ!」
「馬鹿ッ!?そっちには罠がァァァァァァアアアアアアアアア?!」
「けっほ、けっほ、何がっ!?何が……爆発してぇ!?」
戦況としては最悪だった。
彼らの進む森の中には大量の罠が仕込まれており、少し進むだけでその技の餌食となるのだ。
「ぶくぶく……っ」
「……駄目だっ、即死の毒をくらっている。ここまで来たらどうしようもない」
「……っ」
「クソが」
罠には傷をつけるだけのものから殺傷力の高いものまで。
多種多様である。
「クソぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「ちょ、ちょこまかとっ!正々堂々と戦おうという気持ちはないのかっ!」
「……なんだこれは。どこに誇りがあるのだ」
罠でさえも厄介だというのに、永遠と隠れたまま自分たちの方へと攻撃を仕掛けてくる兵士たちがいるのも厄介だった。
そんな風に悶え苦しんでいる者たちを眺めるような人影がわずかに。
「はっはっはっ!太っ腹な領主様からいくらでも簒奪していいとお墨付きだっ!存分に身ぐるみを剥いでやれっ!」
「俺たちがきっつい修練を浴びることになったのもお前らのせいだっ!この痛みを存分に味合わせてやるっ!」
「ぶっ殺してやるっ!」
「はっはっは!金だ、かねぇぇぇぇぇぇええええええええええええええ!!!」
お高く留まった騎士たちが苦しんでいる。
それは最高のスパイスである。
この森の配属となった元々はただの弱小傭兵団でしかなかった彼ら。
ノアの元で精鋭の森林精鋭部隊へと変貌した者たちが柄の悪い笑い声をあげているのだった。
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