主人公たる

 白き炎の脅威にオーガストが何とか耐えようと奮起し、今更ながらにアセレラが己の白き炎の最大の武器に気付いたからしばし。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああっ!」


「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 アセレラとオーガストは激しく剣と剣をぶつけ合っているような状況であった。


「潰れろぉっ!!!」


「ぐうっ……!」


 攻め手はオーガストである。

 圧倒的な力でもってその手にある大剣を小柄なアセレラへと連続で叩きつけ続けていた。


「燃え上がれ」


 それに対して、アセレラは自分の白き炎を展開して対抗していく。


「……っつ」


 白き炎。

 その能力値としてまず挙げられるのが炎が持つ熱である。

 だが、それ以外にも強力な能力を多々持ち合わせており、闇なる属性の敵への攻撃力上昇、武具破壊、生命力魔力簒奪……などなど。

 何故、たかが炎が持ち合わせているのかと聞きたくなるような圧巻の力を持っているのである。


「……ぬぅ」


 だが、これこそが主人公である。


「ぬぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお」

 

 そして、オーガストは今。

 そんな主人公との打ち合いに屈しそうになっていた。


「……暑い」


 今、オーガストは大量の魔力を消費して膜を作って炎から身を守るものを作っている状態ではあるがそれでもまだ気絶しそうなほどに扱った。

 

「……」


 それだけではない。

 主人公の白き炎によ生命力と魔力の簒奪がかなりキツく、


「……ぬぅ、落とせぬ、かぁ」


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 後のことを一切考えない荒れ狂うような攻め手。

 それでもってしてもオーガストはアセレラを最後まで押し切ることはついぞ出来なかった。


「っごく」


 そして今、オーガストの持つ武器がほとんどは尽きようとしていた。

 

「あっぱれ」


「ありがとうございました」


 とうとう膝を折り、主人公の前へとひれ伏して首を捧げる形になったオーガストの首へとアセレラは自分の剣を振り下ろすのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る