姉の力

 アセレラが己の力である白い炎を最大限活用して作り出した優位性でもって終始優勢で戦局を進め、最終的に勝利を勝ち取ったのと同じ頃。


「……」


「……」


 剣を持ったシスが同じように、別の騎士と向かい合っていた。


「……良い、使い手ね」


「ありがとぉ」


 シスは力押しを得意とするアセレラとは別で技量に誇るタイプのキャラである。

 そして、そんな彼女と向かい合うのも技量に誇るものである。


「……」


「……」


 互いに理解していた。

 自分たちの武器は同じように技量であると。

 そして、戦いはすぐに終わるであろうということを。


「すぅ……」


「ふぅー」

 

 シスと、そんな彼女の向き合う騎士は互いに息を吸って、吐いて。

 二人は腰をおろして剣を構え始める。


「「……」」


 一刀。

 決着はそれで決まった。

 互いに抜刀し、瞬歩。

 無駄のない動きで両者互いに己との距離を詰める。

 両者振るわれる剣。


「……みご、と」


「ありがとう」


 勝ったのはシスであった。

 血糊がついた剣を握っていたのはシスであり、きれいな剣を握る騎士は力なく崩れ落ちていった。


「アセレラの方は大丈夫かなぁ?」


 無事に勝利を収めたシスは己の剣を鞘の中へとしまい、己の弟を思って口を開くのだった。

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