第5章第6節「神に見棄てられた土地」

 ラストリゾート大使館に設置されたテレポーテーション装置を通過し、桜井結都はラストリゾートの空中城塞シャンデリアへ辿り着いた。彼を出迎えたのはシャンデリアの警備員ではなく、施設を震動させる地響きと天井から落ちてくる土埃。

 状況を飲み込もうとしても、心の奥底から咽せ返るのは押し殺せない不安。

 それは本能的に現実に何が起きているのかを告げている。

 心臓の鼓動は徐々に早まり、背筋をぞくりと虫が這うような感覚が襲う。

 風を切ると冷や汗が骨の髄まで染み込み、これが夢でないことを示す。


 そして、桜井友都は何らかの衝撃によって崩れた壁から外を見た。


 そこでようやく気づく。


 彼が立っているのは、』であることに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Last Resort Ⅲ:Validate Eschatology 冠羽根 @koeda4563

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説