突入してくるいとこ(3)

 17:31


「いただきます~」

 ユミリは手を合わせて言う。


 真弓はまだ帰っていないから夕食はまた出前。


 今度スイカはえびライスを和祁に注文してあげた。そして自分はケーキで、ユミリはステーキ。


「あ、このパン可愛いですね!」

 ユミリは兎のように作られたパンを取ってスイカに見せる。


「美味しいって思うから、注文してあげた。甘いのよ。」


「ぬいぐるみに似ていますね。」


「正直、最初食べ物を可愛いように作るヤツはバカじゃないかって。食べかけの時は惨めに見えるから。」

 スイカは自分の考えを言い出した。


「そうですね。でも写真撮って保存すればいいではありませんか?」


「うん。その手もあるね。」



 話が弾んでいる二人



「ところで今日スイカちゃんの声は何か、いいですね。前もいいですけど、今はそれより。」


 突然ユミリが指摘してきた。


「あっ、それは……ちょっと口調を変えただけ……」


 スイカは恥じらって答える。和祁もここにいるし。彼の前に打ち明けたがらなかった。


 しばしポカンとしたらスイカは話題をそらそうとする。


「その、ユミリちゃん、この果物は……」



 一方、和祁はスイカの異状に気付いた。

(ちょっと変な……まぁ、放っといた方がいいか。)


 あまり構われると誰も嫌になるじゃないかと、彼は思っている。




 19:21ーーーースイカの部屋


 夕食の時、ユミリと楽しく話していた。


(カツケともそうしたいな……)


 スイカはベッドにうつ伏せに寝ていて退屈そうにスマホを弄っている。ゲームもやりたいけど、いらいらして集中できない。


 こういう時にドアが叩かれた。


 どうせユミリちゃんでしょと思ってスイカはベッドから降りる。足はニーソ履いたけど、不意に床に触れると寒気を感じる。




 ドアを開けたらーーーー和祁がそこにいる。


(ユミリちゃんに連れられてきたの?)


 そして彼女は部屋から出て周りを見たら和祁だけがいるのに気付いた。


「?」


 スイカは迷った顔を和祁に向けた。でも体の方が自ら和祁を引っ張って部屋に入ってきた。



「何があった?」


「えっ?」

 和祁の質問に、スイカは呆れた。


「何かあったら、言ってもいいって。」

 和祁はぎこちない表情で話す。



「そっか……ねぇ、見て……」


 スイカは覚悟を決めてからベットに座って急に右足を高く蹴り上げる。



 蹴られてしまうと思って和祁は思わずに目を閉じた。


 でもなんの感触も伝わってこない。


 しばらく、彼は恐る恐る目を開くと、スイカの足裏は目の前に、すごく近くにある。


「スイカの足、やはり綺麗……近い!」


 和祁は足を見込んで、手が勝手に動き始めて触ろうとする。


 指が足裏に触れる寸前、和祁は怖いことに気付いて動きを止めてしまった。


 ーーーーその足の親指に釘が突っ込んでいる。



 一瞬、和祁の心の中で心配さはすべてのエッチな気分を入れ替えてしまった。


「こっ、これって?」


「……カツケがやったんじゃないの?」


 スイカは内気で可愛い声で問い返した。


「そんなわけねぇだろ。」


「それな。」


 和祁の反応からすると嘘じゃないとスイカは知った。元々ありえないと彼女は思っていたけど、確実に確かめないと安心できない。


(カツケは犯人じゃない。私は嫌われてない。)


 スイカは嬉しがって、思わず笑い声を漏らし出す。


「ふふっ……」


「えっ?」

 和祁は迷ったように頭をかしげる。


「いいえ。その……抜き出してくれる?」


「えっ?」


 和祁はまた迷ったけど、思わずにスイカの右足を掴んだ。


「えっと、何か、自分の体から異物を抜き出すのが怖い。力出ないかも……」

 スイカは小声で誤魔化そうとする。正直彼女は和祁に近づかれたがっているもちろんこの言葉も嘘ではない、ただそれほどの恐れは抑えられる。



 怪しい言い訳だけど、和祁は疑っていないようだ。


「それはわかる。」


 彼は視線をスイカの右足に注ぐ。


(ずっと足上げていて疲れるだろ?)


 と思って彼はその足を掴んだままゆっくりとしゃがんでいく、するとスイカも自然に足を下ろす。


 手術みたいなものじゃなくて、ただトゲを取り出すだけ。和祁にとっては朝飯前だ。


 でも緊張する。


 今、彼が手にしているのはスイカの華奢な足。



 和祁は深呼吸して緊張感を抑えようとしたら不意に手でその足を揉んだ。


 すると痺れるような感覚は電流みたいにスイカの体中を巡る。


 でも彼女は眉を顰めただけで文句を言わずに見逃したーーーーむしろ元々和祁を喜ばせるつもり。


 ささやかなサービス。


 一方、和祁は急に意地悪する気分になってしまって、左手でスイカの右足を握りしめて親指で足裏を突く。


(思ったより華奢だ。)


 和祁は感心している。柔らかい肌を通して硬くて脆そうな骨を感じられる。ニーソのおかげもあるが、つるつるすべすべな触感である。


 とても触り心地いい。


 せっかくだから、和祁はたっぷりと堪能するつもりだ。彼は



 スイカの方は目を逸らしながら必死に足から伝わる刺激を堪えている。

 とはいえ、彼女はあんまりくすぐったく感じていない。幻紋が精神を守ってくれるし、それに中学の授業で機械で足こちょ対策の訓練を受けていた。




 ちょっと遊んだら、ようやく和祁は釘を抜き出そうとする。釘は朝から突っ込んでいるので、乾いた血のせいで割と大きな力が必要だ。



 抜き出してしまった。


 そして、スイカは足を下ろそうとすると、不意に和祁の顔を蹴ってしまったのだ。


 和祁は交わせずに、唇がピッタリと足指とぶつかった。そして衝撃力で、足指は少し和祁の口に入って、舌に触れてよだれがついてきてしまった。


 まさに、スイカのつま先にキスしたも同然だ。


 その感触は一瞬だけだけど、足から伝わる淡い香りがしっかり鼻腔に残ってしまった。


 花のような香り。スイカの足は全然変な匂いがしないのだ。


 気まずい事故。


 スイカは慌てて目をそらす。


 二人ともこれを見なかったことにしようと思った。


 釘は1センチくらい長いなんて、更に、二人は恐れを抱えて呆れてしまった。


「これは……どういうこと?」

 和祁は尋ねる。


「誰かが靴の中に置いたらしい。まぁ……犯人は……一応手当たりある。」


 落ち着くとスイカはすぐ容疑者を思いついた。そして彼女は立ち上がって窓辺へ歩いていく。


 彼女はカーテンと窓を開けて、外に対して叫び出す。


「おいぃ! ! そろそろ出てきてくれるでしょ! ! ! 」


 背かれた和祁も十分に声の大きさに驚かされてしまった。スイカはコツを使っているから、声は大きく響いていて遠くまで届ける。


「えっ…誰?」

 和祁は訪ねながらスイカの側に立ち寄って一緒に外を眺める。


 真っ暗。


 地面に誰かがいても見えない。


「ちょっと、スイカ、アラームなってないけど?」

 誰かが侵入してきたらきっとトラップを触発してしまう。


「バカカツケ。何言ってんの?そんなに自分のトラップに自慢するわけ?」


「えっ……そんなことはないけど。」



 確にいくら優れていてもただ中学生の和祁が作ったトラップは大きな欠陥を持つ。


「私でも無事に乗り越えるかもね。」


「すごい。」


「うっ……」

 スイカはついひけらかしただけで、褒められるのが予想外だった。故に彼女は照れている。


「まぉ、確にこないだヘリコプターで帰る時も警報を起こさなかったな。」

 和祁は眉を顰めて呟いた。


 春休みが始まったばかりの時、和祁達は桂あおいというお嬢様を2度助けて、奢られた。それからあおいのヘリコプターに乗って帰った。


「そう。ヘリよ、多分。」


 スイカは何か楽しそうに夜空を眺めているようだ。

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