花見(5)
「人混みに気をつけてって言ったのに……」
スイカは呟いてからため息をついた。
(いや、ちょっと待って、さっきお化け屋敷に行きたいって言ったよね、まさか一人で言っちゃったのか?無鉄砲なユミリさんなら確かに……)
「……じゃ、お化け屋敷に……探しに行こうか……もう、どうして同世代の子の面倒見なきゃ行けないのよ!」
スイカはため息をつく。
……………………
「お客さん、チケットを。」
「?」
スイカは頭を傾げてスタッフを見あげる。
「そっちで買えますよ。」
「ありがとうございます。」
小声で礼を言った後、スイカはすぐ走り出した。
(ところでユミリさんお金持ってたっけ?チケット買える?)
昨日デパートに行った時全部スイカが金を払った。
(まぁ、まず探してみよう。)
そしてスイカは何人かのほかの客達と一緒にお化け屋敷に入ってきた。
(えっ?組み分けてるのか?じゃ、見つかる前にユミリさんが先にでちゃうかも。)
スイカは考えながら人達に付いている。
そして見回すとーーーー
(うわ!視界不良!!どうして大柄な人ばかりなのよ!!!)
スイカは手を胸に当てて自分を落ち着かせようとする。
そして彼女は暗い道を進んでいく。
「ドン!!!」
急に大きな声がした!スイカの足元にスケルトンの手が出てきた!
「……」
スイカは声を漏らさなかったが、実際心の中ではすごく波打っている。
(やべ!危うくそれを壊すところだった!!!)
訓練を受けたから、スイカは察しがいい、それだけでなく、反撃するのも反射的になっている。
元はお化け屋敷を軽蔑したスイカはそれを見直さなければならない。
十分に気をつけないと施設を壊してしまうから!スイカはお金に困らないけど面倒い。
スイカは真剣に道を見つめる。
(早くここを通さないとね、じゃ、バイバイ、大柄な皆さん。)
スイカは準備ができて飛ぶように走り出していく。
「お嬢ちゃん、気をつけてな!」
後ろから他人が心配するように話をかけてきた。
(心配無用だわ。)
と得意げに思って、スイカは口元をあげた。
しかしーーーー
前のドアが閉じ始める。
「あれ?」
スイカは一瞬慌てた。
(いや、まだ間に合える!)
全速で走っていく!
間一髪の時、スイカは無事にドアを駆け抜けた!
(……小柄も小柄のいいところあるのね……)
スイカは息を整えてからこの部屋を見回す。
ここに一人が居て、三本の道がある。
(迷宮か、確かに面白そうだけだ、今暇がない!)
スイカは唇を噛む。
そしてスイカは先客に尋ねようとする。
「そこの君、えっと……」
「ごめん、俺は客ですが。」
「……客でいいですけど。」
スイカは苦笑しながら答えた。
「君も客なのか?」
(何この人、変な会話になってる!)
スイカは心の中でつっこんだ。
「一応ですね。いや、それはどうでもいいですが、あのーーーー」
「一応って何があったんですかね?」
「……」
スイカは黙り込んだ。
(こいつ変!)
「教えてください。」
「えっ、そんな……」
スイカは慌て始めた。変な人に付き合う暇がない。
「でないと、不審者かどうかは知りませんね、急に飛び込んじゃって。」
「……」
スイカは悟った。この人がおかしいわけではない、自分こそ不審に見えている。
でもスイカは弁解する暇がない。彼女は勝手に道を選んで進もうとする。
「待って、逃げるつもりですか?もしかして本当に不審者?」
「違います!!!」
という叫びを残して、スイカは姿を消した。
ーーーーーーー
最後、スイカは逃げ切った。どうせあの人が追いつけてこられないから。
道にたくさんのトラップがあったが、スイカはそれらを楽しめる気がないから、全部無視してしまった。
「ビビビーーー訪れる者達よ、この箱を開けられるかな!きひひひひ~」
次の部屋に入ると、大きな声がスピーカーから出された。子供レベルのセリフだが、アニメ美少女みたいな声を使った。めっちゃ客を引きつけるかもしれない。
(なんか予算をCGばかりに使ったクソゲーような感じ)
とスイカが考えるうち、すぐ話をかけられた。
「スイカ?」
聞き慣れた声だった。
「?」
スイカは声を聞いたらそれが和祁だということを知った。故に彼女は答えずにただ頭を上げる。すると二人の視線が自然に合ったーーーーということになっていない!
和祁の視線はスイカの足に落ちている。
これに気付いて、スイカは責めようとする。
「えっ?ちょっと!」
(足好きなのは知ってるけど、おおっぴらに見るのは流石に!!)
「傷ついてるけど、大丈夫?」
予想外の言葉を和祁が言い出した。
「あれ?」
そう言われて、スイカは自分の足を見て、脛のところにニーハイと皮膚の裂け目があると気づいた。
長い傷だった。幸い幻紋のおかげで、血が出ていない。
多分さっき走る時トラップにぶつかった。
「これは、その、急ぎすぎて……」
スイカは答える。
(最近よくカツケの意図勘違いするのね……どうしてでしょ……)
「そっか。」
「ところでユミリさんここにいる?」
スイカは尋ねた。
「えっ?いないけど。」
「ユミリさんがはぐれたから……お化け屋敷に行きたいって言ったから、ここに探しに来た。」
「わかった。」
その時、他の客はお化け屋敷の次のイベントを呼び起こしている。
和祁は踵を返し、部屋の隅に立ち寄る。スイカは彼に付いている。
「その、私のせい、ユミリさんがはぐれたのは。」
「ユミリさんも子供じゃないし、どうせ勝手にどこかに行っただろ。」
「そうじゃなくて、人混みに入って……」
スイカの答えによって、ユミリに対するイメージが変わる。スイカはためらってから、事実をいうことにした。
「後で一緒に探そうか、今はお化け屋敷楽しもう?」
「ユミリさんより重要なのか!?」
スイカはわざとつっこんだ。楽しそうにつっこんだ。
「チケット高かったから、真弓さんの好意を無駄にしちゃだめだろ。」
「どうしてマユミさんがでるの?」
「真弓さんがくれたお金だから。」
「はぁ?結局自分のお金じゃないのかよ。情けない。」
「僕は……」
「お金欲しいって暗示かけても無駄よ。あげないから。」
和祁はただ雑談のために真弓からお金をもらったことを話しているわけではなく、お金欲しいと暗示をかけているのだ。
もちろんスイカに見抜かれた。
「はいはい。」
和祁は肩をすくめる。
それで二人は笑いあった。
同時に部屋のある男が大声で質問した。
「皆さん、どの道にしますか?」
この部屋はまた三つの道が繋がっている。
「高いだけあってな。甲斐があった。」
よく部屋を見て、思わずに和祁は感嘆した。
「どうせカツケのお金じゃないでしょうが。でも、確かにすごいお化け屋敷だね。」
「せっかくですから、皆さん一緒に行きましょうか?道は多数決で。」
ある女性が提案して、皆も同意を表した。
「せーのー!」
最終は左の道にした。
皆が進んでいく。
スイカが人達に付いて行こうと思ったら、急に肩を和祁に掴まれてしまった。
(!!?私に何するつもり!?)
「なによ?」
スイカは思わずその手を振り払った。
「せっかくだからちゃんと楽しまないとな。」
「?」
スイカは冷たい視線で和祁を見上げる。
「お化け屋敷はやはり一人で探索した方がいい。」
「はぁ?私が人じゃないのかよ。」
「うん、パートナーだろ?」
「うむっ。かっこよさそうなセリフ言って……」
スイカはマンガでよくこんなセリフを読んだ。
反則的なセリフ。
「でも、あんまり暴れちゃダメだよ。スイカの力怖すぎるから、装置とか壊しちゃったら。」
「おい、急に何言ってる、せっかくの雰囲気だったのに。せめて『だから一緒にいこう』とか言ってよ。」
「それ中二っぽいだから。」
「中二的なこといっぱい言ってたじゃん。」
「まぁ、一緒に行こう。」
和祁は微笑みながら言った。
「あっ、うん。」
スイカは何か言おうとしたが何も言わなかった。
「どうしたの?スイカ?」
「ううん。えっと、カツケのかっこいいごとこ見たいなって。」
「えっ?」
「言い直す。カツケの無理やり格好つけるとこがみたい。おかしいから。」
「ええっ?酷っ!」
「ふふ、中二病卒業したカツケはヘタレになっちゃったか。」
「ひどっ!」
二人はまた笑いあった。
「まぁ、そろそろ進もうか。」
スイカはドアを開いていく。
しかし
「えっ?開かない。」
「もしかして謎?」
和祁は推測した。
「いいえ、ホラーRPGみたいなもんじゃなさそうだけど、ねぇ、カツケ、チェックしてくれ、ドアの電池切れたかどうか。」
ここのドアはトラップをつけているから電動力のはずだ。
「いや、電池ないだろ。直接電源接続してるだろ。いや、それじゃーーーー」
和祁は答えた。
自動ドアが電源に接続しているのに、動かない。
「もっと大きな問題だね。」
スイカはくりっとした目を大きく見開いた。
「電源が故障したってこと?」
「誰かに、壊された可能性も……まずはチェックして。」
スイカは和祁に頼んだ。
予想外の事件が起こっているかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます