突入してくるいとこ(8)

 2025/3/25(日)ーーーー16:05ーーーー星間島ーーーースイカの屋敷の敷地


 パロはやばいやつだ!


 食事の後、和祁は一刻も早く別れを告げて帰りたかった。


 そういうつもりだったが。


「意外とキレイな花園ですね!えっ?見たことない草です!」


 パロは楽しそうに見つけた植物に立ち寄る。


 そうだ。パロは無理矢理についてきてしまった。



「かってに動くな、危険だぞ。」


「えっ?怖いトラップでもあるのですか?」



「それはないけど。警報しか作れないので。」


「ええーーーーがっかり。面白いトラップあるって思ったのに。」


「……それは悪いな……」

 和祁はなんとなく昔トラップでスイカを泥まみれにさせたことを思い出した。


「それ、面白そう!」

 パロは叫びながら別のところにかけていく。


「だからかってに動くなって!警報起こしたらすごくうるさくなっちゃうから!」


「パロ耐えられますから!」


「スイカは耐えられないけど。」


「姉上はどうでもいいですよ。」


「怒らせたら殴られるのは僕だぞ!」


「殴られるのですか、兄上可哀想ですね。」

 パロは同情の視線を送ってくる。


 その言葉に、和祁は思いついた。

(えっ?こんないたずらなパロちゃんは殴られないの?もしかして何か怒ったスイカを制する方法でもあるのか?教えてもらわないと。)


 そして、彼は訪ねる。


「ねぇ、どうやって怒ったスイカを落ち着かせられるのか?」


「わかりません。」


「えっ?じゃ、どうやって殴られないの?」

(もしかして、スイカはすごくパロちゃんを甘やかしてるかも。)


「わかりません。」


「えっ?ならパロちゃんはどうして殴られないの?」


「殴られますよ。よく殴られちゃいます。」


「……」

(殴られるのかよ!)


「でもパロがいる限り、兄上を庇います!」


「おお!」

 和祁は期待を起こされた。


「一緒に殴られましょう!」


「殴られるのかよ!」




 二人がだんだん屋敷に近付くと、人の気配がした。


(あれ?スイカが庭にいる?珍しいな。)


 疑問を抱えて和祁はそこに向いて眺める。


 不思議なことに、そのに金髪の少年がいる。


(侵入者か!?)

 そしてその少年にかけるスイカの姿は和祁の目に入った。


 弾丸を交わし、スイカは地面を蹴って高く飛んでいく。多分空から仕掛けるつもりだろう。


 しかしその瞬間、スイカは和祁に気付いたら、真剣な顔が崩れて驚異さに染まる。ショックを受けたように彼女は動きも止めてしまったーーーー空を飛んだままに。


「カツケ?ちっ、ちが、うわっ!!! 」


 そして自然に落ちる彼女はやばい仕草でその少年にぶつかって一緒に倒れていく。


 結果、和祁が目撃したのはラブコメによくあるラッキスケベイベントである。


 スイカはその少年の顔に女の子座りするようになってしまっているーーーーいわゆる顔面騎乗ーーーー少年の頭はまるごとスカートの中に包まれている。


 こういう羽目になってしまった。



 まぉ、実際接触しているかどうか、どこが接触しているか、一切知らない。


 でも少年の顔はスイカの変なところにとても近いということは、紛れもない事実だ。



(侵入者かどうかは知らないけど……これではラッキスケベの定番みたいに彼はすごく怒られちゃうよな。ふっ。)


 と、和祁は推測してながら傍観している。だけど、彼は気付いていないーーーー自分の手が震えている。



 一方、その少年は苦しそうに足掻いていて、無意識にスイカの寛骨のところを掴もうとしている。


 顔が真っ赤になったスイカは恐ろしいものを見たように目を大きく見開いて見下ろしている。



 それを見て和祁は動こうとする。

(やばい、この様子からすると、スイカの怒りはもう限界に至ってる。なんとかしないと!)



 でも次の瞬間、スイカはすらと立ち上がり、スカートを抑えながら何メートル退いた。


 少年は倒れたまま状況理解出来ずに空を見ている。



 そしてーーーー



「す、す、す、す、すみません! ! ! 」


 通りのいい可愛い声が庭を響き渡る。


 謝った。


 スイカが。


 声はあんまり大きくなかったが、和祁達にもはっきり聞こえる。スイカは頑張って大声で謝ったようだ。


 普通、内気なスイカはよく知らない人の前で大きな声を出さないのだ。



(あれ?スイカは怒ってないみたいだけど……えっ?どうして?どうして謝った?)


 和祁は呆れて佇んだ。なんだか謎の恐怖が心の中から湧き上がってくる。


 そのうちに、スイカは顔を隠したまま踵を返して全速で逃げ出していく。


「カ、カツケ、もう帰るよ。」


「……」


「一緒に課題のクエ選ぼう?」


「……」


「ねぇ、カツケ?」


 何度声をかけても応じないから、スイカは頭を傾げて和祁を見上げる。


「あ、うん。」

 やっと、和祁は答えた。


 その後、肩を並べて屋敷へ歩く時、二人ともそわそわだった。




 16:36ーーーースイカの屋敷


 和祁とスイカはリビングルームの机を囲んで一緒にパソコンを弄っている。


 執行課の公式サイトでクエストを受けようとしているのだ。しかし、二人の目はスクリーンを見ていても、心がふわふわ空に飛んでいる。


「これはどう?」

 和祁はあるクエストをクリックして、スイカの意見を聞く。

(だめだ。超気になる、さっきの男の子は誰だ。スイカとどんな関係かな……✔)


 考えると、彼は昨夜パロが言ったレオ君のことを思い出した。


(昨日スイカの反応確に変……まさか、レオってスイカの好きな人?オタクっぽいスイカは好きな人いる?そんなわけない……いや、ずっとラインでチャットしてるかもしれないな。でも、同じディス家の人だっけ?いとこ同士でもいけるのか?だめ、気になるなぁァァ!苦しいよ!僕の好奇心が!)



「悪くないが。」

 スイカはそのクエストをスルーして続けて探す。

(どどどどどしよう?そんな恥ずかしいビジョンを見られちゃって。でも大事なところは触られなかった。でもでも、カツケは誤解してるかな?説明したいけど、わざとらしいじゃないか。それは気まずすぎる。言えるわけねぇ……うわっ!)



 目が❌の形になるくらい、スイカもすごく悩んでいる。



「な、これ見て。」

 和祁はあるクエストを指差す。

(そういえば、パロちゃんはさっきずっと黙ってた。彼女の性格なら、スイカをからかうはずだろ。でもそうしなかった。もしかして……本当にスイカはそいつと何かがあって、パロも知ってる?)

 そう思うと、和祁は今頃パロが一緒に戻ってきていないことに気付いた。



「間違えてねぇ?難易度高。おお、募集人数多いね。なるほど、油売れそう。」

(ってか、本当に触れなかったか?記憶曖昧で……どうしようかな……あっ、もう、嫌だ!)



「うん。報酬も悪くないし。」

(もし僕にもそんな主人公みたいな展開あったら?ーーーーあっ、スイカの恥ずかしいところとゼロ距離、刺激的。しかもそのうち足を揉めるし。いやいやいや、汚いな、僕は。親友に対して何を考えてる……)



「うん、これにしよう。」

(でも、カツケは気にしてなさそう。なんかむかつく、まさか私のことを大事にしてない?)


「仲間多いほど強いし。スイカも苦労したくないだろ。」


「ちょっと、私がだらしないって言いたいの?」


「そんな意味じゃないよ。」


「まぁまぁ、じゃこれだね。」

 スイカは不機嫌になっているみたい。


「なんか、拗ねてる?」


「ない。えっ、ひゃあ!」


 そして急にパロが現れて話をかけてきた。


「ふふふ、もう、兄上ったら。姉上も普通の女の子ですよ?穴に●●一本突っ込んだら大人しくなりますよ~」


 イギリスに育ったパロは日本語上手なのはともかく、下ネタも上手とは。


「●●一本はなにかは知らないが。」

 からかわれたスイカは逆に落ち着いている。こういう時に真面目に怒ったらより気まずくなってしまう。


「下ネタはやめた方が……ところで、スイカーーーー」

 和祁は感情を抑えきれずに頬を赤くしている。


 スイカは頭を傾げて彼を見る。


 和祁は一体何をいいたがるのだろう。


 突っ込ませてもらおうかーーーーと、スイカはなんとなく想像してしまった。


 もしも和祁は本当にそう訪ねたら、どうする?


(そして、私がちょっとためらっても、カツケはそのうちに攻めてくるでしょ……私の腕を掴んで、それから私の胸を……いや、足か、足を……)


 スイカは下から伝わってくる妙な熱を抑えてみたら少し気持ちよくなっていく。



「スイカ、飲み物持ってきてくれる?」


 やはり、現実には和祁は嫌らしいこと言わない。


「いや。」

 スイカは潔く断った。


「えっ?」

 拒絶されるのは和祁の予想外だった。


「ゲームのイベント始まりそうだから、私先に部屋に戻る。」


「実は下ネタを言われて感じてるんじゃないですか?姉上ったら~~」


 嫌がらせだけど、当たりだっと。



 パロはスイカの腰を抱いきしめて、離れさせないようにしている。


「うっ、うるさいよ!さっさと飲み物を持ってきてよパロ!はやく!」


 スイカは慌ててパロの腕を解いてから、小柄なパロを枕のように投げ出してしまった。


 そして壁に激しくぶつかったパロも本当に枕みたいにほぼ無傷だった。


 スイカは続けてパロを殴る余裕がない。彼女は続々と不安を感じている。


(カツケは……ただの下ネタと思ってるんでしょ……私の汚い考えに気付けないでしょ……いや、私、本当におかしくなってる?)



「あっ……」

 昔見たことがない状況だから、和祁は何も言えない。


(下ネタ使いかよ……変な人ばかり来て……)


 彼はもちろんスイカの気持ちに気付いていない。


「怒ったのは、やはり当たりでした?」

 パロはまたスイカに抱きついて戯れ言をいう。


「あ。えないでしょ!」

 もちろん即否定。でないと、スイカの社会人生が終わってしまうかもしれないし。


「とにかく、もうついてくるな。」


「ちょっと、姉上。実際教えたいことありますの!」


「?」


「実はさっき兄上とデートする時にね、パロが座ると、兄上に嫌らしい目で見られてたのです。兄上はパロの足がすごく気に入ってるらしいですよ~」


「!?」

「!?」


 スイカと和祁は共に呆れてしまった。


 悲しいことに、和祁がぼうっとするうちに、スイカは振り返って彼の表情から真実を確かめた。


「カツケ!?こんなに小さい子に何を!?」


「いやいや、誤、誤解!」


「しかも兄上はパロの踵を撫で回してましたよ!」


 同時にスイカとパロに攻められ、和祁は窮地に陥る。


(僕の考え察してたのか!?やっぱり腹が真っ黒だな、パロ!!)



 19:24ーーーーバスルーム


「本当は好きでしょう?」


「好きだとしても、どう?」


「告白しませんか?」


「告白しても、何も変わらないでしょ。」


「ネガティブじゃだめですよ、姉上!」


「ネガティブじゃないけど、事実。」

 スイカは思わずパロを笑った。


(ゆはりパロ何もわからないね。)



「まぁ、話題変えましょう~姉上の体キレイですね!」


 二人が一緒に風呂に入るのはめっちゃ珍しい。パロでも普通スイカの体を見られないのだ。


「……」

 スイカはジト目をした。


 やはりいい話題が来ない。体を褒められても、スイカにとってただのセクハラに過ぎない。


 でもそれよりスイカを困らせるのはーーーー


「そこちゃダメ!」


「実は行きたいでしょう、姉上~」


「本当にやめなさいよ!まだ……そんなの体験したくないから。」


「どうして?」


「その……性欲に浸るかも……でしょ?しかも体力や時間の無駄だし……それに淫乱なようになりたくない!」


「そんな知識持つのに、淫乱じゃないとでも言いたいんですか?姉上よ。」


「常識だけでしょが!!」















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星間学園のSランクカップル~幻紋と銃と恋の話 フチ @blackbean1234

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