空港襲撃(4)

 一方、空港の外に出た和祁は傍観者達の一員になった。もちろんその前はもう警察達と交渉した。


 警察達は空港の入口にいて、問を開こうとする。

 門は敵にシステムを書き換えられて開けない。


(スイカ大丈夫かな……一部の警察はほかの入り口から入ったし……)

 ユミリを助けようと言ったけど、和祁は何もできない。

 彼は慚愧の気持ちを感じている。

 リスクを負ったスイカには本当に悪かった。


(うわ、そのいいなずけはやはり、無料じゃないな。)

 と、彼は苦笑して、恐れを抑えようとする。


 代価を差し出すのはスイカ。

 自分のことなのに、スイカを巻き込んでしまった


 最初二人はこんなことになるとは思わなかったとはいえ。


 和祁は無力さを感じながら、強くスマホを握りしめる。

(スイカ……頑張って……)


 そして彼はふと見回すと、見覚えのある姿が見当たった。

 OL姿の女、さっき電車内で見た変な紋章のカバンを持っている女。


(彼女も空港に来てるか)

 最初和祁はあんまり気にしていなかったがーーーー


(いや、その方向は……空港?何か忘れ物あったか……)

 念のため、和祁はちょっと見はろうと思った。


 彼はその変なカバンを観察しながらひそかに近付いていく。


 しかし急にーーーーその女はカバンを振ると、そのカバンが見つからなくなった。


「うん?」

 和祁は驚き声を漏らしもう一度見たらーーーーその女はもう姿を消した。



 ーーーーーーーーーーーーーー



 ユミリすぐ広場に辿り着ける。

 そして、廊下の果てに、一人の大人が傷を負って倒れている。

 ユミリの前に。


 それを見て、ユミリは足が無力になって、跪いていく。

 それはユミリの精神を崩す最後の藁だった。


(あれ?この人は誰?一般人か?それとも助けに来た人?何があった?敵はどこに………)


 色々考えて、ユミリには頭が壊れるような感じがあった。


(いや、だめだ、今は、今は逃げ道を判断するべき。)

 と、ユミリは自分に教えた。


 しかし彼女はもう疲れている。


 一歩間違えたら地獄、こんな重い選択、今の彼女にはできない。


 所詮、ユミリはただの女の子。


「ユミリさんですか?」

 突然の掛け声に、ユミリはぞくと震えた。

 彼女は驚異な顔して、目を大きく見開いた。声を出そうとも出せない。


(もう終わりだ。)


 彼女は諦めた。

 振り向くこともせずに、彼女は佇んでいる。


「悪いものじゃないですよ。星間の生徒です。助けますから。」


 その言葉を聞いて、ユミリはしばしポカンとした。


 スイカはユミリを急かさずに待っている。余計な刺激を与えてはダメだから。


「why、どう、どうしてわたしの名を、名前を!?」

 ユミリは一瞬狂気に染まり、叫びながらスイカの顔に手を振る。


 もちろん当たらなかった。


 疑われて、スイカは多少不機嫌になった。


「あなたの気持ちは理解できますが、いま、私を信じるしかないでしょ?」

 鋭い目つきと冷たい口調。

 まるで脅かしているみたい。


(これはユミリさんを落ち着かせるため。)

 と、スイカは自分の言動を正当化している。それは本音なのか、言い訳なのか、彼女自分もわからない。


「ごめんなさい。」

 ユミリは素直に謝った。


「私に謝る必要ありません。ですけどーーーー」

 スイカはゆっくりと話す。


「うん?」

 この自分より小柄な少女から、ユミリは恐ろしさを感じているびびている。


「敵は引かれてくるかもしれませんよ。」

 さっき、ユミリの叫び声は大きかった。


「うっ。」

 ユミリもそれに気付いた。彼女の顔に恐れと悔しさが浮かぶ。


「ここは2階、窓を見つければ飛びぢせます。」


「えっ?窓から飛びますか?」

 信じられないけど、ユミリはスイカを信じるしかない。


「怖がらないで下さい。私はちゃんとユミリさんを守りますから。」

 スイカはユミリを無視するように歩き始める。でも最初の一歩を踏み出してから、すいは止まった。


 ユミリは流れでスイカの後ろを見ていく。

 気づくことが恐怖の始まり。せっかく落ち着いたユミリの目に、また絶望が満ちる。


 一人の身長の高い男が銃口をスイカの背中に向けている。



 敵に見つけられてしまった、しかも仲間も制されようだ。

 ユミリはとっさに泣き崩れた。


 止まったのはスイカとユミリだけでなく、その男も行動を取らずに、仲間と通話する。

「見つかったぜ。」

 ……

「二人の女の子だけど、人違いかもな。」

 ……

「はい……」

 ……

「では彼女らをーーーー」


 衣装はその男が言った言葉。そして絶句した。正確に言うと、絶句させられた。


 スイカの体に三つの光る紋章が映る。


 幻紋。


 スイカはもちろん制されていない。彼女は銃に当てられない自信がある。さっきはただ一撃必殺のチャンスを待っていた。


 男は通話する時もずっと銃でスイカを狙っている。

 いつでも銃を打って少女を倒せるはずなのに。


 銃撃が外れてしまった。


 スイカの方が早かったから。

 それに幻紋の光は眩しくないけど、人の注意力を乱せる。


「これが…げんも…」

 と、男が失神しそうにつぶやく時、彼の首はスイカの黒ニーソ履いた脛にぶつけられている。


「うそっ、す、すごいです。」

 ユミリは称賛するに禁じえない。自分と同じように見える少女が想像を超えた力を持つとは。

 これこそ星間学園なのか。

 今の時代の、能力者なのか。


 一方スイカは眉を顰めた。今の状況はまだ安心できない。

 なぜなら、銃声と男の倒れる音に続いて、足音がする。


「気付いてますか?足音。味方ならいいですけど、そう思いませんね。」

 スイカは言いながら床に落ちた銃を拾い、打った。目標は男のスマホ。


「こちらです。」

 そしてスイカは敵の位置を判断して、ユミリに指示を出す。

「うん。」


 そして二人は店のある広場に着いた。もちろん人はいない。

 色々な店があって、流石に見つかりにくい。


「たすかりました。」

 と、ユミリはスイカに声をかけた。

「……」

 スイカは黙った。


「えっと、トイレ、トイレに行きたいです。」


「……わかりました。はやく。」

 スイカは頷いた。時間はかかるけど、行かせないとユミリはうまく動けなくなるのだろ。


「ありがと、とうございます。」

 ユミリは感謝して、トイレに駆けていく。

(この子冷たいけど、優しいね。)

 と、ユミリは心の中で更にスイカに称賛をあたえる。


 ユミリがトイレに突き込んでから、スイカは傍らの非常口に入った。そこはあかりがなくて、潜みやすい。


 最初はユミリが出した音。そして静けさはしばらく続いた。

 それから、ほかの足音がする。


 すると、スイカは二本の拳銃を手にした。




「この辺りじゃ間違わねぇだろうな。」

 豪快そうな女の声が響いた。


「でも、この先暗いな。見つかりにくい。」

 次は男の声。


「だからこそターゲットはここにいるのよ。」

 女が叱る。


 一方、ユミリも彼らに気付き、声を消している。

(そのお嬢様やるね。)

 と、スイカはユミリを称賛した。


 もし敵達はトイレを無視して非常口へ向いてくるなら、スイカは戦いを避けられないようだ。

 もし彼らはトイレに行くなら、ユミリを助けに行かなければならない。


「もう隠れないで、そこにいるだろ。」

 女がそう言った。


 スイカは動いていない。本当に見つけられたとしても、壁があるから、スイカは先攻を取れる。

(それに、敵をこっちに誘うのもありだよね。)

 と、スイカは名案を思いついた。そうするとユミリは助かる。


 しかし、次の一秒で、その計画はできなくなった。


 トイレにかくんと音がした。多分ユミリは驚かされて何かをぶつけたのだろ。


「うん?」

 敵たちは声を漏らした。


 スイカは彼らが見えないけど、彼らは多分トイレにいくのだろ。


(二秒待ってから動く。)

 と、スイカは決めた。


 彼女は息を整えて、落ち着いた目で手にした銃を見る。


(いち)


(に)


  (いく)


 スイカはどっと肘で非常口のドアを押し開けて、すらりと廊下に突っ込んでいく。


 そして敵の姿が目にした。

 トイレに入りかけたのは肥った男、もう一人はスーツを着ている蛇のような目を持っ女だった。


 スイカは躊躇いなく左手の銃を打ち続ける。弾が切れるまで。

 ソレはさっきの敵からもらった銃、その中の弾も麻酔弾。

 今の麻酔弾は直ちに相手を気絶させられるので、警察だけでなく犯罪者も愛用している。


 スイカはただ弾を生贄にして、敵達を慌てさせるためだけだ。相手の実力にいかんで、当たる可能性もあるが、スイカは自分の銃術には流石に自信が無い。


「敵襲!」

 蛇目の女は連中の服を引っ張って注意しながら、銃を打って反撃する。


 ぱっと、スイカは左肩から衝撃を感じて、自然に左手の銃を捨てた。

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