空港襲撃(3)
「マジやばくね、お母さんから情報をもらってよかった。でないと私達もきっと慌ててる。」
「感心する場合かよ。あわててないけど、困ってる。」
混乱になったホールを見回し、和祁は平然とツッコミした。
「じゃ、カツケは何したい?」
和祁は考え込む、他人の騒がしい足音に全然影響されていないようだ。
今わかるのは空港のどこかで爆発があった。だがホールは実際爆発に及ぼされなかった。そして、飛行機の情報を映したスクリーンによると、7時くらい着く飛行機はもう皆着いている。つまりユミリはここにいる。
「だから、どうする?」
スイカは真剣に質問を繰り返した。彼女は焦ったように見えていないけど。
ホールに残っている人はまだ少なくない。早く逃げようとも色々整えなければならなくて、遅くなってしまった。
去っていく人達を余所見しながら、和祁は一息を飲んだ。
事件に割り込むかどうかという選択問題は地震みたいに和祁の心を揺がしている。
ーーーーちゃんと選ばないと、後悔するかもしれない。
「僕は……」
やっと、和祁は喉から声を絞り出した。スイカは待ちながらスマホで時間を睨んでいる。
いつの間にか、ホールには二人しかいない。
相談したいことはおおいけど、時間は許さない。
「……」
スイカは大人しくまっている、その答えを。
「後で詳しく話そう。今は、急げ。」
やんわりと、和祁はユミリを助けに行くと決めつけた。
そしてスイカはただ頭を振って見回す。
ここは怪談の発生地のように静かになってきた。オーディオからの雑音だけが騒いでいる。
今更行動を取るのは手遅れたかもしれないけど、和祁達は試す甲斐があると信じている。
別れの言葉もいらなく、二人はそれぞれの道を走り出していく。
二人でユミリを救いに行きたがるけど、和祁はアイテムを持っていないから、実際スイカ一人で行く。
リスクはほぼスイカ一人で負う。
もちろん和祁はただ外で待つわけではなく、警察達に手伝いする。
しばらく、ホールに誰一人もいなくなった。
……………………
さっきの爆発で、スイカはそれの大体の地点を知った。
爆発は囮だろう、犯人はそこから遠く離れているはずだ。
そして犯人はきっと逃げる人達の道で行動したがらない。一般人を恐れるわけではなく、ターゲットご人込みに混ざると困ることになってしまうからだ。
こう考えると、可能な犯人の所在地は少ない。スイカは経験や直感によって、一つ選んだ場所へ駆けていく。
………………
そこはb1の駐車場。ありふれた犯罪地点だが、犯行をするにはとても便利な場所である。
階段を降りる時から、スイカは人達の話し声を聞いた。
(当たった?)
慎むスイカはもちろん勝手に結論をつけない。猫みたいな足取りで、彼女は一歩ずつ進む。
石段を踏む時、彼女のローファー履いた足はとても誘惑的に見える。
階段の果てに光が見える。犯人ならば、そんな高い調子はないだろう。
と、スイカは判断して、踵を返す。
(間違えた……自今の無駄だね。)
運が悪いというか、このまま手遅れて犯人との戦いをされるのも悪くなさそうだし。
「誰だ!とまれ!」
ぱっ!銃が鳴った。相手は脅かすつもりだった。
そして、それは警察だとスイカは確信して、返事した。
「星間の生徒です。犯人を捕まえようとしてます。」
スイカは言いながら、また踵を返して階段を降りて駐車場へ歩いて、警察達に会おうとする。
言葉を投げ出してから早速この場を去って犯人を探しに行くのもあるけど、それは失礼だなと、スイカは思った。
「さすが星間の生徒ですね。若くて果敢って。」
警察達の中から二人がスイカに近付いてきた。痩せたのが賞賛の言葉を出した。その顔に喜びが見える。彼もまだ二十代で、多分ラノベキャラみたいな星間の生徒に憧れているのだろう。
「ええ、ありがとうございます。ところで、犯人はこのあたりにいないようですね。ここで何をしてます?」
ついでに警察達から情報をもらおうと、スイカは思った。
「俺たちの役目は犯人の逃げ道を断つんです。」
「なるほどですね。」
「喋りすぎたぞ、山田。」
急に、傍らの肥った警察は叱った。すると山田という警察は気まずそうな表情をした。
そして肥った警察はスイカに向いて口を開いた。
「すみません、これ以上聞かないでください。」
「いいえ、わかります。私もそろそろ行きます。あなた達も仕事あるんでしょ。」
スイカはここで時間を無駄にしたがらない。
だが山田は空気を読めなかった。
「いいえ。俺たちはここを見張ってますけど、今はまだ大丈夫らしいです。」
「くっ、もういい、山田。」
肥った警察は再び山田を注意した。
「では、失礼します。」
スイカは別れようとする。
「うん、さよなら。」
「えっ?もう行きますの?」
山田はまだ状況をわかっていないようだ。
「待って。」
突然、肥った警察はスイカを呼び止めた。
スイカはびっくりして思わず震えた。
「なん、なんですか?」
「これをもってけ。俺らに連絡する用のものです。」
肥った警察は通信機をスイカに投げた。
「あっ、ありがとうございます!」
スイカはおめでたいと思った。正直彼女は犯人を制した後のことを考えたことがない。
同時にーーーー
金髪の少女が人気のない廊下で壁に寄りかかって、辛く息をつきながら立っている。
彼女はラフェルのお嬢様であるユミリだった。爆発がした後、彼女は直ちに非常口に入った。
黒いジャケットとミニ丈スカートを身につけた彼女は普通の女子生徒としか思われない。
その姿はわざと身分を隠すためではなく、元々ユミリは普通の服がいいと思っている。
そのまま非常口の道を進めば罠にはまってしまうかもしれないから、ユミリは目立たない折に曲がった。
そして犯人達はコントロール室を占めたかもしれない。
空港で目立つ犯行をしたということは、犯人達は充分に準備したのだろう。
故に、ユミリは絶望感に満ちている。
そして、彼女の微かな希望を砕くのは足音。
一応身を守るための訓練を受けたから、彼女の耳は利く。
(多分味方じゃない……でも手を上げるにはまだはやい。)
ユミリはまだ抗おうと思っているが、法律を守る民として銃はもちろん持っていない。流石に抵抗の手段がない。
彼女は息を止め、できる限り静かに退いて、後ろの折に近付こうとする。
(運が良ければ発見されないかも。)
本当に小さくて小さい希望に託す。
近付いては離れていく足音だった。
足音が消えた後、罠じゃないかを確認するため、ユミリはしばらく待っていた。それから恐る恐る一歩を踏み出していく。
でも、どこに行けばいいのかもわからない。
「この方向は……店の集まるところ……」
そこはいい隠れ場所になると、ユミリが判断した。
彼女は緩く歩いていて、できるだけ足音を消す。
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