誰かと付き合ってみたい(1)
2025/3/12(水)ーーーー12:41ーーーー星間島
片付けを終えたら、和祁とスイカは学校へ出発した。
平日の昼間だから、電車に大勢がいない。
がらがらとも言える車内で、二人はお互いに向かって座っている。スイカはスマホゲームをやっていて、和祁はスヤスヤと転寝している。仲良しはおろか、知り合いにも見えなくて、まるで見知らぬ人みたいだ。
電車はある駅に着いて、また何人が入ってきた。
「よっ、和ッチ、スイカさん。」
「誠か、こんにちは。」
「偶然ですね、上条さん。」
和祁とスイカは気軽に挨拶した。
上条誠、和祁の元クラスメイトかつ友達。二人が仲良くなったのは一年前からだ。朗らかな上条は常に和祁に話をかけてくれる。ちなみに、スイカさんとスイカを呼ぶのは、初めてあった時スイカの苗字ディスで呼んだら、めっちゃ怒られてしまったから。
「なぜここで電車乗る?」
和祁は問いかかった。上条の家はこのあたりじゃないはず。
一方スイカは続けてゲームをやる。
「もちろん女子とデートしてたよーーって言いたいけど、実はクエストがあったんだ。」
武装学園の生徒は[執行課]のクエストをやらなければならない。執行課というのはギルドみたいな組織。
「クエ大変だった?」
「そうだよ。お昼もおにぎりしか食べてないんだ。遅刻するって。」
「まぁまぁ。」
「ところでまた同じクラスだったらいいな。」
も同じく星間高等部に進学した。
「それな。」
「そうなったら、今年もよろしくな。」
「うん。」
「それで、スイカさんはなんのゲームやってるのかみてみよう、ああっ、永遠の調べか、俺もやってる。」
誠は言いながらスイカのスクリーンを覗き込む。
光の調べとはycゲームにより開発された一種類のカードゲームである。それは今日本で大ヒットになっている。
「ええ、流行りのゲームですからね。」
「すげーな、スイカさん、レジェンドばかりなんて、上級者!」
は盛り上がりそうに言った。
「いいえ、まだまだです。そもそも三つのクラスしかやってませんし。」
スイカは恥ずかしさめいた笑顔を見せた。
「いくら課金したの?」
「7000円辺りですね。」
「本当?!少ない!お金持ちなのに。」
「まぁ、自分で頑張ったほうが楽しいと思います。」
「そうだな、自分の力でつよくなること!」
思う存分に課金できない は絶大な賛成を示す。
「うん。それに誰かさんみたいな課金バカになりたくありませんね。」
スイカは和祁をにらんだ。
12:13ーーーー星間学園・高等部
楽しい会話のうちに、電車は目的地についてきた。
約束の時間は12:30なので、生徒はあんまり来ていない。
誠は別の用事があるらしく、着いたところで和祁達と別れた。
「ホールで集まるって、ホールはどこ?」
「これくらいわかるから大丈夫。でも、カツケけしからんな、高等部とはいえ、三年通った学校でしょ。もっと詳しく知れよ。」
和祁を軽んじるとばかりにスイカは手を振って、そう言った。二人は星間学園中等部を通っていて、そこで出会ったの。同じクラスじゃなかったけど。
「正直中等部もよく知らない。」
「適当すぎる。」
傍らに他の生徒達も歩いているから、スイカは道を間違えていないはずだ。そして二人は無言に進むと、すぐホールに着いた。
ホールの外見は普通の学校と同じで、大きく煌々に見える。
でも留意すれば、ここにライトがないことに気付けるだろ。これはこのホールの特別なところの一つ、設置された水晶達によって、差し込んだ日差しを反射することでホールをまるごと明るくする。
夜も水晶でもって、一つのライトを使えばいいのだ。
これは間違いなく素晴らしいデザインなのだ。普通の太陽エネルギーシステムよりずっと効率的だ。
「どちらにすわりたい?」
スイカは振り返って聞いた。
席はほぼ空いているので、好きに選べる。
「かってに。」
「じゃ、後ろかな。目立たないところは自由そうな気がする。」
「自由か……いつもねむってたんだろ、こんな会議の時は。」
「だって、だって、ここのイス心地よすぎるから。」
スイカは笑いながら答えた。
「学園のせいかよ……」
二人はそう話しながら席についた。
「私はちょっと昼寝する。」
スイカは頭をイスにもたれて瞳を閉じた。
「ちょっと、もし大事なこと言ったらーー」
「カツケがいるんじゃん。」
「はい……」
和祁は苦笑いを浮かべる。
そして、彼はうっとりとスイカの寝顔をのぞきこんでいった。見慣れた顔だが、何回見でも飽きないほど愛しいのだ。スイカは本当に美人だ。いつも冷たい目付きさえしなければきっとたくさんの男子が引かれるのだろ。
今、和祁は冷静にスイカ見たら、セーラー服に包まれた彼女がめっちゃ可愛いなと思いはじめた。
まぁ、軽く薄くて膨らんだセーラー服は完全にスイカの胸を見えないようにしているだが。
「じっと何見てんのよ?」
目を開けずに、スイカは突然声を出した。
「……なんでわかるの?」
和祁はさすがに驚いてしまった。彼はなんの声も出していなくて、目を閉じたスイカに気付かれるはずがない。
「息が頬に触れた。」
「そんな手段が……」
スイカの頬に届ける息はほんの僅かだけだ。訓練を受けたとはいえ、彼女の感覚はそこまで利くとは。
「だからなんだ?なにかがついてるって言わないよね?」
「あっ、そのーー」
慌てるうちに、和祁はスイカの揺れた前髪越しに額を見た。
「ニキビまた増えたようだ。」
これが続きの言葉だった。
「……女の子に言うことじゃないでしょ。」
スイカは不機嫌に答えた。
確かに、スイカの前髪の後ろに、ニキビが隠れているのが事実だ。
そしてスイカは再び眠っていく。
「そのーー」
「本当にねむいから、さっさと言えよ。」
怒りを抑えるように、スイカは低い声で言った。
「ニキビ対策の薬使ってる?」
「一応使ってる。どうした?」
「金いっぱいかかった?」
「は……い、認めたくないけど。」
「どうせ効かないから、金を無駄にしないで。」
「うむっ。」
スイカはまゆを顰めた。
「その金を僕に渡した方がーー」
「これこそ本音?ひどい、私の健康に関した金も奪いたいわけ?」
「冗談冗談。」
「つまらない冗談で昼寝を邪魔するでない!」
スイカは軽く(彼女にとって)和祁の肩を叩いて、すごい痛みを与えた。
「うわっ、ふん、またこうしたらニキビを潰して痛ぶってあげる。」
「できればやってみな~」
スイカはもちろんそれも冗談だと知っている。
だって本当に仕返ししようと思うなら、和祁にはより効く手段があるのだ。
二人は笑いあった。
「もう、カツケのせいで貴重な睡眠時間が!今から本当に寝るよ。」
和祁は黙って頷いた。目を閉じたスイカにはもう見えないけど。
(うわ、そんなつまらない冗談して……やはり僕はまだまだ未熟かな。)
なんとなく和祁は後悔した。
その時、スピーカーから出した大きな声が彼の考えを止めた。
「いよいよ時間です、各々の到来をここで感謝します。まだ来ていない方はもう待ちません。それでは会議を始めます。」
和祁は眼鏡をつけているので、演壇の上に立つ女性教師の外見ははっきり見える。
その女性はピンクのボブで、可愛いヘアピンをつけている。だけど彼女の格好はOLみたいに厳かである。身長は普通で、痩せたようにみえる。
「新入生の皆さん、星間学園へようこそ。」
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