お嬢様の来たる(6)
2025/3/13(木)ーーーー8:51ーーーー星間島ーーーースイカの屋敷
和祁がリビングルームに来た時、朝ご飯はもう用意された。
昨夜髪を洗って終わる時はもう二時くらい。それでもスイカは早起きしたみたい。
「まさか徹夜した?」
「ふふ、寝ることは充実な人生の敵よ!」
スイカは可愛いポーズを見せながら宣言する。
「だったら授業で居眠りするな。」
和祁は即ツッコミした。
「お粥に肉も入れたよ。存分に楽しめばいい。」
スイカはメイドの真似してお辞儀した。
「あっさりとした方がいいかな。」
「はぁ?肉が嫌って言うのか?!」
「いいえ、スイカのこと言ってる。」
「うんうん?!どういう意味かよ!私は太らない体質だから大丈夫だからね!」
「体重じゃなくて、ニキビのことよ。」
和祁は呆れて無防備になったスイカに近付いて、彼女の額のニキビを押してみた。
「痛い!触んな!」
スイカは軽く和祁の手を振り払った。
そして照れるのを隠すように床を見下ろす。
(カツケは、私のことに気を使ってるね。)
11:23ーーーーリビングルーム
「なんですか!?スイカちゃんが作った料理があったのですか!?」
ユミリはどっとソファーから飛び出して、テーブルを叩いた。そのくりっとした目に驚異と悔しさが溢れそうだ。眠りすぎたせいで、至宝を見逃した悔しさ。
「料理って……ただのお粥だけだけどな。」
和祁は気まずく説明すると、すぐユミリに叱られた。
「それでもレア度高い料理でしょう!スイカちゃんが作ったのですよ!スイカちゃんの腕を舐めてるのですか?」
「おいしいのは否定してない。」
和祁は弱気に答えた。
「おいしすぎますから、わたしのぶんも食べてしまいましたのか!」
「どうしてそうなる!」
和祁がツッコミした。
「カツケのせいじゃありません、ユミリさんの分用意してませんでした。お口に合うかどうかわかりませんから。」
そんな芝居を見てたまらなくて、スイカは宣言する。口調にユミリに対する不快がみちる。
でもユミリを脅かす効果にならなかった。
ユミリは確かに呆れたがーーーー
(こんなにわたしの好き嫌いを考えてくれましたね!!感動してしまいます!スイカちゃん大好きです!)
「大丈夫ですっ!スイカちゃんが作った料理なら、私全部食べますから!」
「全部食えば太っちゃいますけど。」
スイカは冷たくツッコミした。
(!!!わたしの体を心配していますね!スイカちゃん優しいです!)
ユミリは更に興奮して、視線を逸らし、顔も赤く染まる。
それを見てスイカは口元を上げる。ユミリの困るところ(スイカの思い込み)を見ると、なんだかすっきりした。
「そろそろ昼食の時間だな、ユミリさんは何がいい?」
和祁は償おうとする。訪ねながら、和祁はついユミリの肩を叩いた。
パッパッとした声とともに、そのシーンを見たスイカの瞳が揺れる。
「勝手に、勝手に触らないでください!失礼です!」
ユミリは思わず怒鳴った。
「すいません。」
和祁は呆れたように手を離して謝る。
一方スイカも気持ちが重くなった。
普段なら、内気な和祁は人を叩くなど浮ついた動きをしない。
カツケは本当に、婚約を続けようと思ってるんでしょう。
「嘘つき……」
スイカはぼうとしてなんとなく呟いた。幸い、誰にも聞こえなかった。
「わかるでしょう、女の子の体は勝手に触ってはだめです!」
続いて、ユミリは警告しながら、スイカを守るように両腕をその首に回す。
(これでスイカちゃんはわたしから愛と安全感を取れるでしょう!)
スイカは気が付き、自分を抱いたユミリの腕を見下ろす。
(ユミリさん……まさか、挑発する気?)
「では、昼食はレストランに行ってどうかな?」
和祁が提案した。二人の女の子がイチャイチャするところを見られて、彼の気持ちはすぐ晴れた。
(女の子同士はやはり仲良くしやすいな。)
「へぇ、出前でいいじゃん。」
スイカはその提案を却下した。
「実は、ユミリさんが来たばかりで、ついでに町案内しようと。」
和祁が説明した。辻褄に合う理由だからスイカは否定できない。
「わたしはいりません!」
ユミリは拒絶する。
「……私はいいと思います。遠慮しないで、ユミリさん。」
すこし考えて、スイカは気が変わった。いまは出かけして気分転換しようと思った。
「スイカちゃんがそう言うならそうしましょう!わたしはちょうど日本料理食べたいです。」
ユミリはスイカを抱きながら叫び出す。
(うるさい!近くに叫ぶな!)
スイカは思った。
「日本料理ですか、つまり、刺身などのことですか?」
スイカは作り笑顔を見せて尋ねる。
「うん。そうです。」
「そうですか。私はたまたま食べます、知ってる店があります。ちなみにカツケは全然そんな料理食べませんよ。」
「ええっ、あなた、本当に日本人ですか?」
ユミリは和祁に振り返って聞いた。
「どうして僕はそう疑われるんだ!?」
「真の日本人は、その、一日5回くらい刺身食べるべきではありませんか!」
「厳しいそれ!って、ユミリさんの国はいつも自由を唱えてるんじゃないか。」
「私はアメリカ人じゃありません!」
「まぁ、出発しましょう。日本料理の店に。」
スイカは二人の論争に終わりを告げる。
「ところで、同時に日本料理と西洋料理がある店に行った方がいいと思う。オススメの店あるよ、そこで西洋料理一人前注文したら果物のサラダが食べ放題になる。とても安いよ。」
二人のお嬢様の前で、和祁は自分の経験談を語る。
「cheapということですね。そんなこと考えて、目が浅いですね。」
ユミリに軽蔑されてしまった。
「ユミリさん、節約は美徳ですよ。」
スイカは反論する。
(まぁ、カツケはゲームで全然節約しないけど。)
「ビトク?セツヤク?」
「あ、それは、これですね。」
スイカはスマホの翻訳アプリを開いてユミリに見せようと思ったら、今ユミリは後ろに彼女を抱いていることを思い出した。
(ちょっと、つまり、壁紙も、見られちゃった!?)
スイカは恥ずかしさを覚えて、頬を赤くした。彼女の壁紙は男性向けの風格で描かれたある少女ゲームの少年キャラである、それに風呂に入って裸半分のシーン。
「あっ……frugal とvirtueですか、ビトクとセツヤクですね……」
単語を暗記するように、ユミリはスクリーンを見ずに繰り返す。
スイカは一旦ホットした。
(壁紙を気づかれてないみたいね。)
「by the way ~スイカちゃんのwallpaper素晴らしいですよね!」
「うわっ!?」
スイカは驚いた。
(気付かれちゃった!)
普通にwallpaperのカタカナ形式も使われているから、スイカはその単語を聞き取れた。
「かっこいいですね。アイドルの絵ですか?」
「いいえ、ゲームのキャラです。」
(普通実在の人と思われないでしょう、つまりユミリさんは二次元に詳しくないね。)
「そうですか。えっと、スイカちゃんはかっこいい女の子が好きですね。」
「ふっ!これ、これ少年です、女の子ではありません!男です、boyです!」
スイカは噴き出しそうだった。好きなキャラがそう見間違えられるとは思いにもよらなかった。彼女は思わず怒鳴った。怒る時スイカは敬語を使う。しかしユミリに対する元々敬語だから、ユミリはその怒りを十分に感じなかった。それでもすぐ謝った。
「申し訳ありません。わたしのミスです。」
「まぁ。」
スイカもだんだん落ち着いていく。
「だって、男の子なのに、あっ、顎がそんなに……sharpですね、首も細いですし。」
「二十一世紀の日本マンガはこんな風格ですよ。まぁ、確かに女性向けなら、もっと男性らしいですけど。私はこんなのがかっこいいと思いますの。」
「わかりました。」
「えっと、ユミリさんは日本マンガ見てないんですか?」
「たまたまですよ。日本や韓国のドラマが好きですけど。
「そうですか……」
スイカはため息をついた。
(ユミリさんも、三次元の住民だね、いや。普通女の子はほぼそっちか。でも、これじゃ、ユミリさんとカツケの趣味が違うってことだね。)
最後まで考えると、スイカはなんだかホットした。
「おすすめのマンガありますか!見ていきます!」
「まずは食事だろ。」
やっと、和祁はツッコミするチャンスを見つけて割り込んだ。
「うるさいですよ、あなたは!」
ユミリは怒鳴る。
「確かに、レストランにいくなら、そろそろ出発ですね。」
「あ、では、さっそく行きましょう!」
ユミリは直ちにスイカの提案に賛成した。
同時に、和祁とスイカは黙って玄関へと足を踏み出す。
「なっ、スイカ、白星デパートでいい?」
「うん。」
白星デパートは彼らいつも行く場所。食事や買い物もそこに行く。それに二人の家に近い。
ユミリは二人の去っていく後ろ姿を見てぼうとした。
(スイカちゃんに手を出すつもりですね!許せません!譲れません!)
和祁が知らないうちに、火をついてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます