それ以外の関係になりたくないから(1)
2025/3/14(木)ーーーー17:18ーーーー星間島ーーーーあるレストラン
「再び礼を言わせていただきましょう。助けてくれてありがとうございました。」
席についたら、あおいはいつもの営業スマイルを浮かべてスイカにお辞儀した。
あおいと真弓は同じ側で、向こうはスイカとユミリ、和祁は側面の席。
ちなみに用心棒達は隣りのテーブルを囲んで食事する。
「いいえ、たいしたことじゃありません。」
「おめに入れないほどのお礼ですが、おごって致します。思い切り食べましょう。」
あおいは優しく微笑む。
スイカはそれに見惚れた。
(優しいけど、高嶺の花みたいな…)
「遊びあがりの食事はとても楽しいですね!スイカちゃん!」
ユミリは高くフォークを上げる。
「そろそろ注文しよう。」
和祁は最初メニューに手を出す人となった。
「どうぞ。」
あおいは和祁に微笑んだけど。スイカは心配した、和祁は失礼かなと。
そしてスイカの心配事を打ち飛ばしたのはユミリ。
「あんまり力出さなかったでしょう?一番先にhungryになってどうするんですか?!」
ユミリは和祁に異議を出した。
スイカは苦笑して和祁とユミリを見る。
(二人のやり取りを邪魔しない方がいいかな。)
「いや、普通に食事の時間だろうが。」
和祁は普通につっこんだ。
彼は力を出さなかったという点を否定していない。感覚伝染は確に手軽に使える能力。
でも、スイカは少々その言い方が嫌だった。
(何も知ってないのに……ユミリさんは……)
「それでもあなたが注文する資格ありません!」
ユミリはまた叱った。
「お二人落ち着きなさい。お好きなだけ注文していいですよ。」
あおいは調停しようとする。
ユミリは空気を読んだみたいに、大人しくウェーターを呼んできた。
「すいません、私達まだメニュー読んでませんから、少し待っていただけますか?」
あおいは問題に気付いてウェーターにお願いした。
「はい、ごゆっくりです。」
ウェーターも優しく答えた。
そして和祁はページをめくり始めて、画像を指さして一つずつ注文する。
「ちょっと、メニューも見せてよ!」
ユミリが促す。
「お静かにしてください。QRコードでメニュー見られますから。」
スイカは注意した。
「そうですね!ありました!ありがとうスイカちゃん!ところでスイカちゃんライン使ってます?」
「そうですが。」
「良かったですね!ライン交換しましょう!」
「いいです。」
ユミリとスイカはお互いのQRコードを読み取った。
「わたくしはこれでいいです。ユミリ様、注文しましょう。」
真弓が注文してから、ユミリの番だ。
「うん、えっと、スイカちゃんは何が欲しいです?」
「えっと、私は……」
しばらく注文が終わった。皆が話すのに夢中になるうち、料理もだんだん運んでくる。
……………
スイカはユミリに答えながらスマホをいじる和祁を睨んだ。
(何弄ってんでしょう、ラインも返事してこなくて……)
彼女に不満が生じたら、和祁は運んできた黒胡椒ステーキとコーラをスイカの前に置いた。
「あっ、いただきますけど。」
スイカは腹が空いたから。
「ごゆっくり、お嬢様。」
「どうぞ、白鷺さん。」
「えっ?」
ユミリだけがびっくりしたようにスイカを見つめる。ちなみに和祁は黙っている。
(ユミリさんも食べたいかな?)
と、スイカは思った。
(ちょっと、ずるいです!スイカちゃんに食べ物を運んでアピールするなんて!!わたしも負けませんからね!負けてたまるもんですか!)
ユミリの瞳に火が燃えていく。
「ねぇ、スイカちゃん、食べて。」
ユミリは自分が注文したアイスケーキをスイカに届ける。
「うん、ありがとう。」
スイカは茫然としたように受け取った。
「お礼言わなくても、スイカちゃん。」
「うん……」
スイカはなんとなく気まずく感じる。
一方ユミリは礼を言われて楽しくなった。
(やはりスイカちゃんはあの男を目にしてませんね!)
「ところで、あおいさん、私達まだライン交換してませんね?交換してはいかがですか?」
スイカは訪ねた。
「いいですよ。あんまりライン見なくて、返信は遅くなるかもしれませんけど。」
その言葉に、スイカは憧れの表情を浮かべた。
(さすがお嬢様!電子製品勝手に使うなって教えられてるてしょうね。)
「友達に会いたい時は呼び出して一緒に寄り道しますから、ネットではあんまり人に関わりません。」
あおいは続けて語る。
「そうですね。」
スイカは納得した。同時に妙な痛みを感じた。
(これが普通の女子だね!いいな。)
スイカはオタクだから、ラインやツイッターを重んじている。
そう考えているとはいえ、スイカはもちろん二次元を捨てる気がない。
(ってか、いくら科学発展したとしても、人と繋がりたい気持ちは変わらないよね、だから伝統のスポーツやイベントまだ行われてるね。)
スイカはなぜまだ部活をやる生徒がいるのか迷っていた。
「スイカちゃん、食べて~」
ユミリはまた料理を届けてくる。
「もういいです。」
ステーキを食べて、スイカはもう満足した。
「ええっ、せっかく注文しましたのに。」
「……」
そう言われて、スイカは受け取った。実際心の中では喜んでいる。しかし流石にもう食べられない。
そんなビジョンを見て、あおいは微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます