花見(2)
2025/3/13(木)ーーーー23:13ーーーー星間島ーーーースイカの屋敷・玄関の外
お嬢様茶会がおわり、あおいは別れをした。そしてスイカは一人で彼女を見送って玄関まできた。
「随分遅くなってますね。ご迷惑かけたかしら。」
「いいえ、楽しかったですよ。」
「それはよかったですね。ところで、一つ気になることがあります、聞いてもいいかしら?」
「何のことですか?」
「それは、その男の子……東雲君とはなんの関係ですか?恋人?同棲中ですか?」
問う方が先に頬を赤くしてあやうく笑い崩れるところだった。
スイカにとっても、こんなことを聞かれるとは思いにもよらなかった。
「……いいえ、同棲って……まぁ、一応彼はここに泊まってますが……それは……」
「付き合っていますか?恋人見たいなって思っております。」
あおいは目をキラキラして訪ねている。
「いいえ……恋人に見えてます?」
「うん、とてもふさわしく見えますよ。」
「えっ……ただの友達です……親友なんです。」
スイカは真っ赤に染まった顔を下げて囁くように答えた。
「では好きですか?」
「あっ?」
直球に、スイカは驚き声を漏らした。
「本当に親しくみえますから。」
「まぉ……ユミリさんこそ彼の婚約者です。」
言い終わって、スイカは見上げたら、あおいのきょくりとした目にぶつかる。
「これは大変なことになりそうですね。失礼なこと聞いちゃって、お許しを。」
「いいえべつに。カツケ達はあんまり仲良くありませんし……婚約破棄の可能性もありますし……それに……」
「その、自分の意思が大事だと思っておりますよ。素直に自分の気持ちを認めればいいと。」
あおいは姉っぽい微笑みを見せた。
「そうか……も知れませんね。」
「とにかく頑張りなさいね、白鷺さん。」
23:21ーーーーリビングルーム
「カツケ、充電。」
スイカは自分のスマホを和祁に渡した。彼女はリビングルームを片付けようと思っている。ちなみにさっき茶会の部屋は真弓に任せた。
「うん。」
つまり、和祁はスマホをスイカの部屋に持って行って充電する。ちなみに充電器はいつもコンセントに待機してる。
彼はスマホを取ってからすらと2階への階段を登っていく。
廊下を通じるうちに、和祁はついスマホの電源ボタンを押した。
そして光った画面に映るのは美少年のイラストと暗証番号の入力スペース。
「ほんとに可愛い子だな。」
和祁は呟きながら歩く。
ちなみにスイカのスマホの錠は普通のレベルだから、彼は解ける能力がある。その中身に興味を持っていないけど。
スイカの部屋についたら、和祁は思わずドアを開けて入り込んだ。
(暗いな。)
中は真っ暗だったが、和祁は明かりをつけるつもりがない。彼は幻紋によって目が強化されたので、微かな光線だけで行動できる。
ものを踏んだりしないように和祁はコンセントを目指して慎んだ足取りで進む。
そしてやっとコンセントに近付き、充電器を取ってスマホに挿入しようとする。
その時!
「スイカちゃん!部屋におかえりなさい!!!」
大きな声とともに、和祁が急に抱かれた。抱きしめられた。
しかも背中から柔らかい何かの触感が伝う。
「僕だけど?」
少しの沈黙の後、和祁は自ら打ち明けて振り向いた。
振り向くんじゃなかった。
入口からの光のおかげで、少し離れたユミリの下着姿ははっきりと和祁の視界に晒した。
…………
「見ないでください!!!」
ユミリは叫びながら慌てたように退く。でも何かにつまずいて、後ろに倒れていく。
その時、和祁は!
もちろんぼうっとしていて、何も出来なかった。
ユミリも派手に転んだ。幸い硬いものにぶつからなかった。
「大丈夫?」
「出ていけ!fool!」
「はっ、はい!」
充電できずに、和祁は慌てて部屋から飛び出していく。
だけどユミリはこれだけで満足するわけがない。怒った彼女は体を隠すのも忘れて、和祁に罰を与えようとした。
そして、和祁に追いかけ、彼を押し倒そうとした。
ぱっ!と廊下に落ちたスマホの傍らに、和祁が下でユミリが上で、二人が倒れている。正確に言えば床ドンという状態だった。
ユミリの胸の二つ豊かな塊が和祁の目の近くにあった。元々白人だから、廊下の光に照らされさらに輝かしく見えた、まるで大きな真珠のように。
和祁は貧乳派だが、始めて見たらユミリみたいなブラを強く支えたおっぽいも誘惑的だった。
(もみたい、いや、今何か言わないと!落ち着け、アニメの主人公みたいに!)
「いい天気だな。」
考えたあげく、和祁はアニメ主人公みたいな反応をした。
ユミリからの返事はパンチ。
…………
「なにさわ……いだのですか?」
スイカはやってきて不思議なビジョンに呆れた。
「スイカちゃん!このやろわたしの裸を除いてしまって!」
「いや、誤解だ!その!」
和祁は慌てて弁解する。
スイカはユミリを無視して、ただ床に倒れた和祁と自分のスマホを見つめる。
「それより、私のスマホは?」
……………………
2025/3/14(木)ーーーー6:15ーーーースイカの屋敷・台所
「いい匂い。」
料理作っている和祁の傍で見守っているスイカは嗅ぐと漂う香りが鼻に入ってきた。
「いい眠気だよ。」
和祁は文句を言った。もっと眠るつもりだったが、昨夜の事故の罰として、彼が花見のための弁当を作る。
「そんな変態みたいなことしちゃって。」
「誤解だって。」
「だから追及してないんだもん。ほら、火がーー」
「こここそ強火だよ。」
和祁は得意げに教える
「なるほど。すごい。」
スイカは興味深そうに傍観している。せっかく和祁の料理が食べられるから。
「お嬢様、わたくしの腕も劣ってないと思いますけど、こっちのべんとうを選びませんか?」
かたわら、真弓も料理を作っている。
「今度かな。」
スイカは適当に答えてから続けて和祁を見守る。
「だから、お嬢様は、僕に給料をけれませんか?」
和祁は冗談した。
「このネタやめて。」
スイカは真剣に和祁の顔を見上げる。
「はい。」
和祁はがっかりしたふりをした。
「ここも強火?」
スイカは話題を変える。
「えっ?」
スイカの指さしたところを見て、和祁は焼きすぎたのに気付き、あたふたと火を抑えた。
「やはりここにいますね!スイカちゃん!」
昨日みたいに、ユミリはまた突然に門を開けた。
「えっ?寝坊してないか?」
和祁は思わず話をかける。
スイカは驚いたように目を見開いて和祁を睨んだ。
和祁はよく知らない人にあんまり話をかけないから。
一方和祁もスイカの驚いた表情に気づいた。
(えっ?スイカどうした?)
「馬鹿な事言うな!ヘンタイさん!」
ユミリは守るようにスイカを抱いて離れた。
「……」
和祁はまた料理に専念する。
「ところでスイカちゃんは料理作りませんか?」
「うん、罰としてカツケにやらせた。」
「ええっ!?」
「どうかしました?」
「彼は別に何もしなかったですから、そんな罰はいりません。」
ユミリは後悔した。そんなことでスイカの手作り弁当が食べられなくなったとは。
挽回するために、今彼女はまさに和祁の弁護士になっている。
スイカは目を細めた。
(今更言葉を変えるなんて、やはりツンデレか……やばい、いや、カツケと仲良く出来ていいことのはずなのに……どうして……)
スイカはイライラしてきた。
「罰は罰です。」
「どう言っても僕が悪かったから、やらせていい。」
「ちょっと、誤解と言ってたではありませんか?!」
ユミリは強く反論する。
「ええっ?」
和祁は困惑に落ちる。
「わたくし達はもう弁当を用意してますので、予定を変えると困ります。」
真弓が割り込んだ。
「わっ、わかりました。でもわたしはこいつの料理食べませんからね!」
(教科書みたいなツンデレ発言だね……)
と思って、スイカは即答した。
「安心して、ユミリそんの分はマユミさんが用意してます。」
「year!!」
ユミリは楽しそうに見える。
「頑張ってねお二人。私失礼。」
お別れを告げて、スイカは立ち去った。
「待ってて、スイカちゃん!」
ユミリは慌ててあとにつく。
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