第6話 ネクストゴッズ

 私はフラムに手を引かれ建物から出たらしい。上も下も、どこを見ても白一色だったこの世界に高低差があるなんて思えなかった。しかし歩いてみると、そもそも自分が立っていた場所が空中だった事に気づけた。

 かと言って、今は地面に立っているのかと言われたらよく分からない。

 

「スノウ、これからデンシャってヤツのある駅に向かう。」

 

 フラムが言うには、デンシャは素早く長い距離を移動できる乗り物らしい。下界で言う列車のようなものだろう。

 

「そういえば疑問だったんだけど、スノウのそのビジネスバッグみたいな武器は何なんだ?」

 

 言われてみたら、出会ったばかりのフラムには物珍しい物だろう。

 

「これはパンドラボックスっていって、毎回毎回抜刀する度に武器の種類が変わる機械仕掛けの武器だ。下界にいる時の仕事で貰ったもんを今でも使ってる」

 

 私はパンドラボックスを振る。ガチャガチャと形が変わっていき、やがて一丁の拳銃になる。

 

「今回はハンドガンだったな」

 フラムはその光景をまじまじと見ていて、とても感動しているようだった。

 

「スノウはなんの仕事をしてたんだ? そんな物持った人間が妹探しに避難所に行くなんて物騒すぎるぜ」

 

 パンドラボックスを戻してフラムに手を引かれながら私は悩んだ。私の仕事や、なぜ妹を探すのか、フラムに話すべきかどうか。


  ヒュッ―――


 突然、私でも見える男が2人現れた。その男達は両方とも腕がなく、この真っ白な空間の中で私にも見える存在という事になる。つまり。

 

「神か」

 

 神が間髪入れずに襲撃してきた。先程の神が殺された事がもう知られていたのだろう。

 

「行けるかスノウ!?」

 

 私は既にパンドラボックスの変形を終わらせていた。

 

 刃文は逆丁子さかちょうじ、黒い『仙人葛せんにんかずら』の刻印が刻まれた白銀の刀身に、黒い円形の鍔、漆黒の鞘に柄。

 

「喧嘩上等」

 

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