第16話 サプライズ
フラムの前に目を瞑ったスノウが立ちはだかった。彼女はパンドラボックスを漆黒のロングソードへと変形させていた。その刃には僅かに冷気が漂っている。
「おいスノウ! 俺だよ!」
スノウはフラムの言葉に聞く耳を持たず彼に襲いかかる。フラムはスノウの剣を受け流し、弾き、何とか彼女を傷付けずに奮闘している。
「ハァハァ、ハハッ! これが僕の魔法だよ!」
神はフラムを指さす。するとそれに応えるようにスノウがフラムに攻撃をする。
「くっ…、スノウッ!」
スノウの夢――
フラムの手は次第に私の身体へと降りてくる。やさしく触れてくる彼の顔を見ると、とても楽しそうな表情を浮かべていた。
首、鎖骨と撫でられ、フラムの指は私の胸に触れる。
「なぁスノウ、ここまで来たらやめるなんて言わないよな」
フラムは力強く私の胸を掴む。先程の優しさとは真逆の荒々しい手つきで胸を揉み、指は胸の先端を摘み、回し、押している。
「ん…」
じれったい感覚がじんわり身体に流れる。解けた顔を隠そうにも、手さえ動かせないためにフラムには筒抜け状態でとても恥ずかしい。
じっくり愛撫された胸は、もはや性欲へのスイッチへと変わっていた。彼に触れられる度に、彼を欲してしまう。
その様子を見た彼は私に微笑むと、胸を口に含んだ。先端をすぐに攻めるのではなく、焦らすようにゆっくりと周りを舐める。もう彼の片手は、私のおへその下まで伸びていた。
「フラム……っ! だ、だめだよぉ?」
私は心にも思ってない事を言った。本心では触ってほしい、いじってほしい、乱してほしいと思っている。
「やだ、聞かない」
フラムの手はさらに下へ伸びてくる。
その頃フラムは―――
「スノウ! どうしたんだよ!」
フラムはスノウとの戦闘に苦戦していた。神もちゃちゃを入れてくるせいで、2対1での防戦一方だった。
「ハハッ! 仲間の女の子は傷付けられないよね!」
ロングソードのリーチでは、体術を得意とするフラムには少し分が悪かった。防弾防刃のレーヴァテインがいくら優秀とはいえ、拳を叩き込まなければその特性を生かすことも出来ない。
「寝てるなら起きろよスノウ!」
フラムはスノウのロングソードを叩き割る勢いでぶん殴った。しかしロングソードは想像以上の硬さをしており、地面を抉るフラムの拳を持ってしても傷はつかなかった。
スノウはフラムの拳を受けきると、逆に反撃の体勢を取った。ロングソードを水平に顔の横に構え、瞑った目でフラムを見つめる。
「こうなったら本気で殴るからなスノウ!」
フラムは深く息を整え拳を握る。
「俺は『フラム・カグツチ』。お前をぶん殴っ――ッ!」
フラムがスノウに集中していたために、神の鋭い爪でフラムは背中を掻かれた。首元から袈裟懸けに裂かれ、強烈な痛さにフラムは床に倒れてしまった。
「お前……!」
「ハハッ! 油断してるから悪いんだよ、フラム・カグツチくん? ハハッ!」
鼠の神のいやらしい笑顔がフラムに注がれる。
「それじゃ、殺っちゃってよそこの君! ハハッ!」
スノウはロングソードを引きずりフラフラと近づいてくる。
「スノウ……」
スノウは振り上げたロングソードを掲げて呟いた。
「『ブレイクダウン』!」
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