第25話 ディスカムフォート

「やぁ、お目覚めだねスノウ・トウティ」


 次に意識が戻った時、私は見知らぬ天井を見ていた。どうやら私達は、ブリッツに助けられどこかの建物の中で治療を受けている。

 隣には、大量の点滴と包帯を巻いたフラムがベッドに横たわっていた。


「フラム・カグツチは背中の傷と全身の火傷が酷い。でも、地雷の爆発を受けてこうして生きてるのは奇跡だな」


 ブリッツは真剣な顔をして私を見る。そして申し訳なさそうに口を開いた。


「病み上がりで悪いんだけど、あたしに協力してくれない?」


 私は未だに状況が飲み込めず、ブリッツの話を聞いても何も頭に入ってこなかった。私とフラムを助けた理由や、コッカイギジドーからどうやってこの場所に来たのか、気になる事が多くてブリッツの誘いを素直に受け入れられなかった。


「あぁごめんな、あたしは『ブリッツ』、『ブリッツ・ライデン』だ。よろしく」


 ブリッツは改めて自己紹介をしてきた。彼女は上位人のようで、身体の左半分は金属になっている。細いカイトシールドは小さく収納されて左腕に装備されており、赤い片刃の直剣は彼女の背に収まっている。

 ブリッツは髪をクルクルさせながら話を続けた。


「あたしは、あたし達は、このトウキョウの現状が気に入らない。そのために神を潰して革命を起こそうとしてる」


 ブリッツは紙を複数枚テーブルの上に置く。


 私はその紙を取り、目を通した。

 そこには、コッカイギジドーにいるであろう神の情報がびっしりと書いてあった。私とフラムが戦ったことのある神から見た事のない神、サルを含めた、六天という一際特殊な神の資料まで幅広く用意されていた。


「トウキョウ以外の土地や国は、民衆の意見が反映されやすい民主政治を取ってる。でもこのトウキョウは、コッカイギジドーにいる、力ある神が全て決める神主政治を取っている。あたし達はそれが気に食わない」


 ブリッツの話を聞き大まかな動機は分かったが、そこまでして神へ反逆する理由が分からなかった。ある程度整備された街並みや、人々も笑顔で過ごしているような雰囲気が感じられたからだ。


「スノウ、君はここに来るまでに住人の違和感に気が付かなかったか?」


 ブリッツが腕を組んで私に問いかける。


 たしかに、上界に来てから街の人を見て疑問に思った事はあった。


 それは……。

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