第29話 ファミリー

 私は氷の剣を神に振るう。凍てつく鋭い刃は神の身体を切り裂き、血液がオイルか分からない液体が傷口から吹き出る。


「痛いぃぃ!!」


 神は痛みに悶えながらも、自らの口や毛穴から毒液のようなものを垂れ流し続けている。その毒液は傷口からの血液やオイルと混ざり合い、強烈な刺激臭を放っている。


「これで終わりにしてやる」


 私は止まらずに神を切り刻む。私と神の周りには謎の液体が飛び散り、だんだんと水たまりが出来てきた。連撃を絶えず与え続けると、だんだんと青白い結晶が弾け出す。

 攻撃の速度とパワーが最高潮の今、私は足を大きく踏み込んで神に強烈な一太刀を浴びせた。


 パリン――ッ!


 一際大きく結晶弾けた。

 

「『クリスタルブレイクダウン』!」


 

 

 ズタズタになった神はついに頭から地面に倒れ、ピクリとも動かないまま絶命した。


 ブリッツはその様子を知ってか知らずか、直剣を背に収めてカイトシールドを収納する。


「スノウ! どうだったあたしの最高なバトルは!」


 ブリッツはご機嫌な様子で神の死体を後にスラム街を再び歩き出す。私は呆れて何も言えなかった。


 ただ、この戦いで私は得たものがあった。

 それは、メインの戦闘方法を確実にアシスト出来る程の魔法技術だ。戦闘中、イメージをより強く鮮明に思い浮かべることが出来れば物体の生成もできる事がわかった。

 つまり、今までパンドラボックスにプラスして付け焼き刃のような魔法や、何となくの相乗効果を狙った魔法を使ってきたが、これからは有用な火力の底上げやパンドラボックスの変形に組み合わせた確実なアシストが可能になった。

 

「『青の結晶クリスタルオブブルー』、か……」


 ブリッツはそう呟く。


「聞いてたのか?」


 彼女は私の方を振り向き、真剣な眼差しを見せ私の肩に手を置く。


「神の元締めがトウティってやつなのは知ってるだろ? 噂じゃ、アイツが魔法を使う時、青い水晶が連なって結晶が舞うらしいんだ。ついたあだ名が、『青の水晶クォーツオブブルー』」


 それを聞き、私はつくづく他人事のように思えなくなった。ひょっとしたら、トウティを名乗っている神を従えてる神様は私の上位互換の魔法を使えるのかもしれない。


「後々戦うことになるんだ、今は気にせず先を急ごう」


 私は足早にスラム街を後にした。



 コッカイギジドー―――


「トウティ様、スノウとフラムが反社のブリッツ・ライデンに接触しました」


「そうか、わかった」


「引き続き神を送り続けて首を差し出します」


「下がっていいよ五天」


「「「「「はっ」」」」」



「早く会いたいな、お姉ちゃん♪」

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