第30話 ステーション

 私とブリッツはスラム街を抜け、トウキョウの普通の街に出た。そこにはのどかな住宅地が広がっていて、今までのトウキョウとはまた違った姿を見せている。


「そういえば、ブリッツはなんで私達の名前を知ってるんだ?」


 彼女は初対面の時から私とフラムをフルネームで呼んでいた。それに、街ですれ違う人々は半上位人である私達を変な目で見てくるが、彼女にはその視線は無い。


「あー、神殺ししてる半上位人がいるって聞いてさ、知り合いに頼んで魔法で素性を調べさせてもらったんだ。勝手にごめんな」


 お前嘘だろ、と、言葉には出さなかったが内心すごく思った。


「あたしも聞きたいことあってさ、なんでそんなに神がスノウ達を殺しにかかってるの? 何かやらかした?」


「上界に来て神を殺しただけだ。他は何もしてない」


「いや、それが全てだろ」


 ブリッツは笑いながら言う。でも正直、私は神に狙われる理由がそれ以外にもあるんじゃないかと思っている。神をまとめている神様に私の同じ姓があり、何かしらの理由で私を狙うという事なら説明がつく。


 そんなことを思いながら歩いていると、だんだんと駅が見えてきた。


「スノウ、その鋼技こうぎ屋がある駅の名前って覚えてるか?」


 確か、あの駅の名前は……。


「『東京』」

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