第21話 ドラグーン

「ありがとうフラム」

 

「スノウに任せ切りも申し訳ないしな」

 

 コッカイギジドー目前まで迫った私たちの進撃。しかし、ここで思ってもみなかった出来事が起こる。

 

 ザザザ―――

 

「牛と蛇倒しちゃうとかホントになかなかやるね。なら、君達が見たことも無いような神を送るね!」


 

 そして現在


 

「マジでコレどうすればいいんだよ!?」

 

 巨神からの平手打ちや地団駄は、どれも小さな私たちにとって即死級の攻撃となる。

 

 巨神は周りの建物や自然が破壊されてもお構い無しに暴れ、常に瓦礫と土埃が宙を舞う。規格外の大きさと攻撃に、私もフラムも避ける事で精一杯だった。

 

「お前ら、早く、死ね!」

 

 時間が経つ毎に巨神の攻撃はパワーが増していく。そのパワーは、巨神が腕を振った時の風圧で吹き飛ばされそうなほどにまで上がっている。

 

 私は自分より大きい外界の獣を狩る時、必ずやる事があった。獲物を観察し、真っ向勝負が出来る獣とは肉弾戦をする。それが出来ない場合は、罠を張ってじっくりと好奇を待つ。

 

 神特有の顔の赤い筋は、まるで象のような長い鼻と牙を描いているようだった。外界を獣にも、象のような見た目のデカいやつがいた。巨神は今のところ、腕と足を用いた大雑把で大胆な攻撃以外見せてきていない。

 

 私は、鳥や鼠の神を見ていて思った事があった。

 

 それは、上界も下界も、見た目や特徴が共通している動物又は動物を模した生き物がいるという事だ。

 

 私のカンが正しければ、この巨神は下界にもいる象と似通った動きをするはず。下界にいる象や外界の象のような獣は、巨大な図体や長い鼻を利用した派手な攻撃や、とにかく敵を圧死させることに長けた行動をとる。その攻撃方向は、どいつも下向きだった。

 

 この場合、真っ向勝負はできる。

 

「フラム! 私を上空まで蹴り飛ばしてくれないか!?」

 

「はぁ!? この……、状況でか!?」

 

 いくら相手が大きくて、広範囲を破壊できて、当たれば即死の攻撃をしてきても、象は上空からの攻撃は防げない。

 

「できればめちゃくちゃ空まで飛ばして欲しい」

 

 巨神の攻撃を避けながらで無茶だとは思う。しかし、やれる事はこれしか思い浮かばない。

 

「あぁ分かった! こっち来てくれ!」

 

 巨神の攻撃は止まらない。豪快なビンタや地面を抉って瓦礫を飛ばすなど、無茶苦茶でやりたい放題だ。


 私はフラムの元へ走る。飛ぶ瓦礫を弾き、土埃を払い、巨神の腕を避け走る。

 

「よし! 飛べスノウ!」

 

 私はフラムの指示通り宙へ飛ぶ。飛び上がった私の足元には、フラムの右足が添えられていた。

 

「『画竜点睛がりょうてんせい』!」


 

 私は炎の龍を纏い、雲を突き抜け暗天の星空の月を見た。



「『炎龍氷眼ドラグーンダウン』」

 

 小さく遠くに見える巨神目掛け垂直にハルバードを構える。


 炎の龍は氷の瞳を携えて、真っ直ぐに巨神へ向かった。

 

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