第二十八話 「証拠」

「つまり、今までの状況をまとめると、


犯人は女性が出入り出来る様な場所に


簡単に出入りできる人物で、


更に現場には、茶色いカツラの髪の毛や


凶器として使用された


 "パソコン"の様な物が残されていた――――」


「じゃ、じゃあ....」


「は、犯人は―――っ?」


「え?」


「な、何ですか?」


「ま、まさか....」


「....ちょっと待ってよ」


「小澤・・・・っ」


鮎人の口から出た事件現場の状況説明から


犯人が女である事を悟ったのか、


このホールに集まっている全ての人間の視線が


この部屋の中にいる女性、


小澤、村上、咲茉、澪、そしてADの碧(あおい)


に向かうが


小澤はその視線を感じたのか


怒気を含んだ様な表情で全員を睨みつける


「確かに状況的な事から考えたら


今までの事件は


"女"がやった可能性が高いけど...!」


「・・・だ、だったら」


「でも――――」


慌てた様子で自分の足を一歩踏み出して来た


チーフディレクターの原から一歩後ずさると、


小澤は原を睨み付ける


「でも、状況的な証拠が何であれ、


"この部屋にいる全員にはアリバイがある"


 そうでしょ? ―――鮎人?」


「・・・? 


あ、そ、そうだ」


「は、犯人が誰だろうと、俺たち全員には


"アリバイ"があるじゃないか!?」


「そ、それだったら、俺達が今回の事件を


 起こすのは無理だったっんじゃないか!?」


「・・・イ―――」


「・・・・」


「??」


鮎人の一言に、スタッフ達の視線が


ステージ上に浮かび上がった


別の"映像"に向けられる――――


"ジィィィイイイイイイイ―――――


「これは・・・」


「"咲茉"の部屋か?」


「な、何で――――!」


"ジッ ジジッ――――!"


「か、勝手に隠し撮りしてたの?」


鮎人がイに指示すると、


指々首 咲茉


の部屋がまるで現実の様に


ステージ上にはっきりと


浮かび上がって来る


ボォォォオオオオオオオオオ――――...


「ええ――――」


「な、何を―――」


「あ、鮎人さん・・・!」


「残念ですが――――...」


「・・・・! ま、まさか...」


「わ、私達を疑ってるって――――」


「(・・・・)」

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