第十四話 「再現」

「犯人が、分かったんです――――」


「・・・・」


「・・・・」


「は、犯人が?」


「・・・・」


"ジジッ――――――"


どこからか聞こえて来る、映写機の


フィルムを回す様な音を聞きながら、


ホールの中央部に集まった


RS事務所のスタッフ達は暗がりの中


ステージからの逆光で顔が見えない


鮎人に目を向ける


「―――は、犯人が分かったって...


こ、この船には俺達しか


 いないんじゃないか?」


「・・・・」


"カッ


今回の撮影で、ディレクターを務める原が


鮎人に向かって驚いた声を上げるが


鮎人は中央に集まった全員に背を向けると、


後ろに向かって一歩踏み出す


「な、何か犯人は"女"だって話だろ?」


「―――――....」


"カッ カッ カッ カッ――――....


「いや、女って言ったって...


事件が起きた時のアリバイは、


全員ある筈だろ――――」


「アリバイ―――――....」


"カッ"


鮎人はADである三浦の言葉に


ステージに向かいかけていた足を止め、


スタッフとステージの間で立ち止まる


「イ...」


「??」


"カタッ"


「チェ、ユ――――」


「・・・・」


「・・・・」


"ガタッ"


「な、何だ?」


「お、おい」


ステージに近い場所の座席に座っていたイが、


自分の部下である二人の韓国人、


チェとユに呼びかけると、チェとユは


ゴーグルをいくつも手に抱え、


RS事務所のメンバーの元までやってくる


「コレ、使テ」


「・・・ゴーグルか?」


「これで、事件現場が見れるとか――――


そんな事、言ってたよな?」


"ガチャ"


"ガチャ"


「・・・・」


"カッ カッ カッ カッ――――"


「鮎人くん―――――


あなた、何を始めるつもり――――?」


「小澤さん―――――」


"ガガッ"


"ピーッ"


「!」


「――――あ、アー...」


"ガガッ"


「ま、マイクか?」


「な、何だ」


劇場内に、マイク越しの鮎人の声が響くと、


中央付近にいる事務所のメンバー達は


暗い、座席の周りの壁を見渡す


「今から、事件の検証をするため、


事件現場の"逆再生"を行います――――」


「ぎゃ、逆再生?」

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