第三十話 「ズレ」

「これ....一体....っ!


"どう言う事"


 なんですかね―――っ!!」


「ど、どうって....っ!?」


「な、何で小澤さんの部屋に、


カツラと、パソコンがっ――――!」


ステージの端に置かれていた鞄から鮎人が


血糊(ちのり)が付いたパソコンと、おそらく


コスプレ用のカツラをステージの下にいる


全員の前に突き出すと、


ステージの周りを囲んでいる


スタッフ達の表情が一変する


「あ、あれが小澤副社長の


 部屋にあるって事は・・・」


「じゃ、じゃあ、犯人は...っ!」


「・・・そう、今回、俺達


RS事務所の四人のスタッフを殺したのは....


咲茉、小澤さん....っ!


 アナタ達、二人だ―――っ!!」


「!」


「!!ッ」


「!!、?」


「!??」


「・・・・・!!」


「な、何だと....っ!」


「ま、まさか、"咲茉"、と


 "小澤"副社長が―――っ!?」


「・・・・」


"コッ コッ コッ コッ――――...


「・・・・!」


鮎人は、ステージの下にいた咲茉、小澤に向かって


二人の部屋から拾って来た


"証拠品"を突き付けると、そのまま


ステージ上に映し出された咲茉、そして


小澤の部屋の中を壁をすり抜けながら


ゆっくりと歩いて行く....


「犯人は、複数――――...


 そして、女性――――」


「じょ、状況から考えるとそうなるな―――!」


「そして―――...っ!」


"コッ コッ コッ....


「・・・・」


"カッ!!"


「・・・・!」


「そして、現場に落ちていた


 茶色い髪の毛のカツラ....


 凶器であるパソコン――――...!」


「あ、ありゃあ非道いわ・・・・」


ADの三浦が、棒読みの様な口調で


赤く、黒い色にくすんだパソコンを見て声を上げる


「現場の状況――――っ...


そして、現場に落ちていた証拠品....!」


"カッ カッ カッ....


「・・・・!」


"カッ!"


「犯人は、小澤・・・っ そしてっ....!


咲茉....!


 お前ら、二人だ――――っ!」


「・・・・!」


「な、何で....っ!」


「(・・・・?)」


鮎人が、ステージの下を見下ろすと


咲茉、小澤は言葉を失っている様だが


「(―――――??)」


何故か、鮎人の頭に、先程感じた


"戸惑い"が過る――――


「(な、何だ....)」


「・・・・」


「・・・・」


「・・・・」


「・・・・」


"シィィィィィイイイイイイイイイン――――...


「・・・・」


「・・・」


「・・」


「・、...でも、ちょっと待てよ?」


「イ・・・」

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