第四十話 「誤推」

"ドサッ"


「(何なんだ―――...)」


【私達を犯人に仕立て上げて....!


それで自分は人を殺してたなんて・・・】


【――――とんだ野郎ですね】


「(・・・三浦...)」


どうやら、自分を犯人に仕立て上げるための


イのVR映像を使った嘘の話に


そのまま反応しているのか、


外からスタッフ達の声が聞こえて来る中、鮎人は


入り口の扉に背中を預けながら


扉の外にいるRS事務所のスタッフ達に


考えを巡らせる


「・・・俺は、


 "犯人"....


じゃない――――....」


【この映像を見てわかる通り、


鮎人がやったのは明白でしょう】


【これ、実際の映像なのか?】


【もちろんです】


「(・・・・)」


おそらく、先程イが見せた自分が


女子トイレで亜矢子を襲っている映像。


「(あれが、イが作り出した偽の映像、


"虚像"なのは


  間違いないだろうが――――)」


【鮎人....、犯人は、必ず俺達で捕まえよう!】


【そうだな....!】


「(さっきの推理をする前までのイは


完全に俺に協力する振りを


してたよな・・・?)」


【鮎人! ・・・もしかしたら、これで


アイツらのアリバイが


崩れるかも知れないぞ!】


【ほ、本当か!】


「(―――――....)」


何がどうなっているか分からない


「(ただ... 今の状況を考えれば...


イが俺に協力していたのは嘘で


あのVR映像を使った現場検証や


証拠集めはただの俺を犯人に


  仕立て上げるためだけの


罠だったんだ....!)」


"ジジッ!


「・・・・」


考えてもいなかったイの行動に鮎人は


怒る気力も失せたのか力無く


部屋の隅で鈍い光を上げている


スロットマシーンに目を向ける....


「(何が目的なんだ・・・)」


"ジジッ ジジジッ――――

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