第四十六話 「聖戦」

"パッ!"


「え!?」


「・・・・!」


"パッ パッ"


「あ、鮎人っ!?」


「・・・・!」


"ダンッ ダンッ ダンッ ダンッ!


「お、お前どうやって――――!??」


"ガタッ!"


「―――――ッ!」


「う、うわっ!」


鮎人がステージの下の場所から


ステージ上へ駆け寄って行くと、


ステージの側にいたディレクターの原が


鮎人に向かって手を伸ばす


「退けッッッ!!」


"バンッッ!!"


「―――う、うふッ!」


"ドンッ!"


鮎人は、伸ばし掛けていた原の腕を


思い切り左手で振り払うと、そのまま


原の横を通り過ぎステージ上へと


駆け上がって行く!


「な、な――――ッ!?」


「お、おい、――――っ!」


「鮎人さんっ!?」


「(やっぱり、この映像だと


  犯人は――――...ッ!)」


"ダンッ ダンッ ダンッ ダンッ!!"


「お、おい!」


「(イは、俺を犯人に仕立て上げるために


虚像を見せて――――....ッ!!)」


"ダンッ! ダンッ! ダッ! ダッ! 


 ダンッ! ダンッ ダッ―――――!


「鮎人――――ッ!!」


"ダッ!"


「イ――――!」


「お、おい・・・・!」


鮎人は、まるで周りを気にせずに一直線に


舞台の上まで駆け上がると、


ホールの中央付近まで駆け寄って来た


イを見下ろす―――


「・・・どうやってカードルームから


 出たんだ・・・っ」


"グッ!"


「そんな事は、どうでもいい――――!」


「・・・・ッ!? あ、鮎人っ!?」


「イ――――....


 みんな―――....っ」


「・・・・!」


自分から離れた場所に居る


イを真っすぐに睨みつけると、鮎人は


ステージの下に集まった全員に向かって


静かに、だが力強く声を上げる...


「――――俺....


 "犯人"が分かりました....っ!」


「・・・な、は、犯人って――――!


「犯人はお前だろうっ」


「犯人は―――――...


「お、おい....


まるで周りの言葉が聞こえていないのか、


鮎人は全員の言葉を無視してそのまま声を上げる!


「犯人は――――!」


「あ、鮎人さんっ!?」


「は、犯人って――――!??」


"スウウウウウゥゥゥゥ―――....


「お、オイ―――


「・・・・!」


息を大きく一つ吸い込み、


暗がりの中に居る全員を見渡す


「・・・"犯人"は....っ」


「は、犯人って――――!?」


「な、何を言ってるんだ!」


「(・・・・)っ!」


閉じていた目を薄く開け、


鮎人はそのまま導かれる様に


両目を大きく見開く!


「犯人は―――――ッ....!!


「は、犯人!?」


「お、オ―――...な、ナ―――....


「犯人、は.....っ」


「何をやってるんだ!?」


「下りろッ!? ――――今すぐそこを


 下りるんだっッ!?」


「―――――スウウウウウゥゥゥゥゥ」


「・・・・!」


「―――――!?」


「犯人は....っ!」


「は、犯人....!」


「犯人は、


"あの時の全員"


 です――――っ!」


「・・・・!」


「・・・!?」


「・・!!」


「―――ッ!!!?」


「犯人、は――――....っ!!


"あの時の全員"


 です―――――っ!!」


「・・・・!」

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