第四十七話 「暗出」
「な、何を――――...っ?」
「"あの時"...
の
"全員"――――っ!?」
"ダダッ!"
「鮎人――――っ!」
「宏美さん――――っ!」
「ひ、宏美!?」
「な、何を言ってるんだ!?」
ステージの下まで駆けつけて来た咲茉を見て、
鮎人が別の女性の名前を口にするが、
それを見て周りの事務所の
スタッフ達の表情が固まる
「宏美っ!?」
「だ、誰なんだ・・・?」
「(―――――....)」
"カチャッ!"
「―――――??」
「あ、鮎人....っ??」
「(やっぱりだ――――)」
"グワァァアアアアアアアアアァァアア...."
「な、何だ....
「ゴ、ゴーグルを....!
「(――――国東、弘也、
そして景子――――っ...)」
"グワァアアアアアアアアアアアアア...."
「な、何を――――ッ」
「あ、鮎人―――― どうしたの――――.....」
「・・・茶番は止めにしませんか...!」
「っ!? ちゃ、茶番?」
「な、何を言ってるの??」
"グワァァァァアアアアアアァァァアアアア....
「(滄城学園―――――!)」
「鮎人・・・・」
「宏美さん・・・・」
ステージの上に鮎人が立つと、
鮎人は自分のすぐ目の前に立っている女、
かつて滄城学園で思いを寄せていた
演劇部部長、
"風間 宏美"
が今自分の目の前に立っているのを見て
その名前を強く叫ぶ!
「ま、まさか――――!」
「"分かった"って事か――――!」
「・・・・」
"パッ!"
「あ、明かりが――――
「・・・・!」
鮎人がいるステージの下、先程まで
事務所のスタッフ達が集まっていると思われた
ホールの中央付近が照明によって
照らし出される
「国東――――ッ」
「・・・・!」
"ボォォォォォオオオオオオオオ
「(・・・やっぱり...!)」
"カチャ"
「(―――――!)」
ゴーグルを掛けると同時に目の前の景色が歪み始め
まるで真実を照らす鏡の様に、
この場にいるRS事務所のスタッフ達が
姿を変えて行く!
「み、見えてるのか」
「あ、鮎人――――っ!」
「弘也、景子――――....」
「まさか、見破るなんて....!」
「洋子――――っ!」
「鮎人・・・っ!」
ゴーグルによって姿を変えた
RS事務所の何人かの姿を見ると、
そこには、かつて死出島で自分を
犯人に仕立て上げようとした学園の仲間たち、
国東、洋子、そして幼馴染の
景子、弘也の姿が見える――――!
「な、何で―――――ッ」
"ガタッ"
イは、鮎人の様子を見て、崩れた砂の様に
その場で地面にへたり込む――――
「な、何なんだ、これ!?」
「・・・・」
まるで状況が分かっていない孫を見て
鮎人はステージ上で声を上げる
「今回、イが俺を犯人に
仕立て上げるために作り出した
VR映像――――」
「い、今見てたやつか」
「・・・・」
"コッ コッ コッ コッ――――"
「(国東――――)」
【どうせ、お前は
殺すつもりだったからな――――】
鮎人は、ステージ上でゆっくりと歩きながら、
この場に姿を現した死出島の全員を見下ろす
「(弘也―――――....)」
「な、何だ!? ―――み、見えてるのか!?」
"コッ コッ コッ コッ――――....
「(景子――――....)」
「何だよ~ また、もしかして
"バレ"たって事?」
「・・・・」
「つまり―――――....!」
鮎人は、舞台の中央、
全員を見下ろせる位置に立つと
そのままステージの下にいる
RS事務所のスタッフ、そして
死出島にいたかつて滄城学園の仲間だった
国東、洋子、弘也、景子、そして
宏美に目を向ける――――
「・・・・」
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