第四十八話 「現実」

「ま、まさか....っ!」


「な、何だっ!?」


"ボォォォォオオオオオオオ―――――


「(国東、景子、弘也、洋子――――....)」


"カチャ"


「"見えてる"って事か....」


「・・・・」


鮎人が、先程イから渡されたゴーグルを外すと


ステージの下にいた何人かの


スタッフ達の姿が消え、


そのスタッフ達と入れ替わる様に


かつて、自分と同じ滄城学園に在籍していた


国東、弘也、景子、


そして洋子が姿を現す――――


「まさか、気付くなんてね・・・」


「景子....っ」


"カッ カッ カッ カッ...."


「・・・・!」


「鮎人....」


先程まで、メイクの村上だと思っていた女を


ゴーグルを外した状態で見ると、


そこには鮎人の幼馴染、"景子"の姿が見える


「な、何だ!?」


「どうしたんだ?」


「・・・・ゴーグルを外してください...」


「――――?? ッ!?


う、うわっ!?」


「だ、誰っ!?」


「・・・そう...」


先程まで暗い劇場内にいたせいか


何が起こったか分かっていない様子の孫が


鮎人の言葉にゴーグルを外すと、そこには


まるで見た事も無い、数名の


事務所のスタッフ達と同じ様な格好をした


男女が自分の周りに立っているのが見える


「だ、誰だっ!? お、お前らっ....!?」


"ガタッ!!


「・・・つまり、こう言う事です――――」


「う、うわわっ」


「・・・・」


"コッ コッ コッ コッ コッ――――....


「・・・わっ! わわわっ!」


「先程起きた停電....」


「わ、わわわっ!」


「・・・・」


"コッ コッ コッ コッ――――"


鮎人は、孫が慌てた様子で尻を付きながら


後ずさるのを気にせず、ステージ上で


ゆっくりと自分の靴の音を響かせる


「そして、この暗がり、


ステージ上の明かりだけで


 照らされた劇場内....」


「鮎人....っ!」


姿を現した国東が、自分に向かって


憎悪(ぞうお)を含んだ眼差(まなざ)しで


見てくるが鮎人はそれを気にせず


話を先へと続ける


「全ては、イの用意した偽り―――....


"虚像"


だったって事ですよ――――....」


「きょ、虚像....!」

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