第二十三話 「アリバイ」
「・・・今回の事件の犯人は、
"女性"の可能性が高い――――....」
「あ、ああ、状況から考えると
どうやらそうみたいだが...」
「・・・・」
暗がりの中、事務所の人間の視線が
周りに集まっている
村上、咲茉、澪、そして
副社長の小澤に集まる
「そして、伊坂さんは手すりから
突き落とされた....」
「そ、それが何なんだ?」
「・・・つまり―――...
村上は、あせった様に自分に話しかけて来る
原の言葉を無視して、そのまま自分の推測を
周りの全員に向かって伝える
「・・・"犯人"は、
伊坂さんをデッキまで突き落とすには、
高い手すりの上まで伊坂さんを持ち上げて
突き落とさなきゃいけなかったんでしょ?」
「あ・・・」
「じゃ、じゃあ――――」
「い、伊坂は....!」
「でも、少し考えて」
「?」
孫が声を上げるが、脇から進み出て来た小澤が
遮る様に声を上げる
「確かに、伊坂君の部屋は
"密室"でも無く、
"犯人"は女性の可能性が
高いのかも知れない――――」
「・・・・」
「でも――――、」
小澤は、ゴーグルを掛けたまま
ステージの上に向けていた視線を
隣にいる村上に向ける
「仮に、伊坂くんの部屋が
密室であろうと無かろうと、
犯人が"女性"だろうと、
この部屋の中にいる事務所の全員には
"アリバイ"があるでしょ――――」
「そ、そうか!」
安堵した様な表情で孫が表情を崩す
「この場にいる全員に"アリバイ"がある以上、
犯人が誰であろうと、
この場所にいる全員に伊坂くんを殺す事は
不可能だったんじゃない.....?」
「た、確かにそうだ」
自分達の中に犯人がいると思いたくないのか、
三浦が小澤の一言に同調した様な素振りを見せる
「鮎人、アンタ――――」
「・・・??」
推理を否定しようとしているのか
かなり口調が荒くなった小澤の言葉に
鮎人が戸惑った様な様子を見せる
「アンタ、さっき、"犯人が分かった"
そう言ってたでしょ?」
「そうですね・・・」
「でも、結局、この部屋の全員に
アリバイがある以上、伊坂くんを殺す事は
不可能だった―――」
「そ、そうだ」
「た、確かに・・・・」
ディレクターの原がまるで
そう決まっているかの様に小澤の言葉に頷く
「鮎人――――....」
「はい・・・」
「アナタ、これで、どうして
「犯人が分かった」
そう、言えるの....?」
「・・・それは、今から検証する
他の三つの事件現場を見てもらえれば
分かると思います――――」
「・・・他の殺害現場...」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます