第二十四話 「ターゲット」

【鮎人さん~ まだ見つからないんですか~】


【おかしいな...】


"ガタッ!"


「鮎人さんの話だと、ここに


次のターゲットをクリアするための


何かがあるって言ってましたよね~?」


「そ、そうだと思うんだけどな....」


"ガタッ! ガタタッ!"


「・・・・」


オーシャニア・クルーズ地下1F。


「(確か、さっきのVR映像で見た


よく分からない文章にはここの場所が


  書かれてたみたいだけど...)」


"ガサッ! ガササッ!"


「(特に、何も無いな・・・)」


船内の、地下1Fの通路の先にある


少し広めの休憩室の様な場所で、鮎人は


目の前にあるテーブルや椅子を動かしたり、


ひっくり返したりしながら


今回のVRゲームのターゲットである


RS事務所のロゴが象(かたど)られた


タペストリーを探す....


「もう~ けっこう、ゲーム始まってから


時間経ってますよね~?」


「・・・・」


今回、イが企画したこの


オーシャニアクルーズで行われるVRゲーム。


「(目的の事務所のロゴが入った


タペストリーを見つければ


何か賞品みたいな物が


もらえるみたいだが...)」


「・・・この感じだと咲茉、


けっこう先まで進んでるみたい」


「・・・・」


二人一組でペアになって、この船内に映し出された


VR映像を頼りにターゲットである


タペストリーを目指して船内の


様々な謎を解いていく、と言うのが


今回のゲームの内容らしい


"ガサッ"


「いいんです――――


所詮、雌奴隷には、雌奴隷なりの


処遇が相応しいのですから―――」


「・・・おい~ 咲茉~


そんなに自分に自信無い事言っちゃダメだよ~


もっと、自分に自信を持たないと~」


「いえ――――....私は所詮、


ただの隠然たる雌奴隷にしか


 過ぎませんから....」


「(・・・・)」


鮎人が、周りの様子を伺いながら


自分達から少し離れた場所に目を向けると、


そこには"咲茉"、そして事務所の代表である


"孫"の姿が見える――――


「あ、鮎人さん――――??」


「・・・何だ」


「あっ! ほら! 咲茉!?


 これ―――――??」


"ガサッ"


「・・・次の目的地か何かですか?」


「そうみたいだな・・・」


孫の言葉に、咲茉がゴーグルを掛けると


目の前に何か、次の目的地を示した


地図の様な物が浮かび上がっているのが見える


「これ、次の手掛かりじゃないか!?」


「その様ですね....」


「あ、鮎人さん! 


 ・・・早くこっちも


次の手掛かり見つけないと


 咲茉に先越されちゃうよっ!?」


「・・・・」

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