第五十三話 「決死」

「"鮎人"ォォオオオオオ


「――――!」


国東は、手に持っていた


サバイバルナイフを振りかざすと、そのまま


ステージの上で棒立ちになっている鮎人目掛け


一直線に突っ込んで来る!


「―――鮎人さんッ!」


「"殺"(と)ったぁァァアアア――――ッ


"ビュンッ!"


「・・・あ...!」


「・・・・!」


「あ、鮎人・・・・!」


「(―――――....)」


「あ、あ... さ、刺さった...」


「鮎人ォォアアアアアアア――――ッ


"ズッ


「お、おい....」


「あ、鮎人が....」


「・ ・ ・ ・ ・」


「さ、刺されちまった・・・・」


「う、嘘でしょ?」


「―――――――


「――――――


「―――――


「―――――――


「・――――――....


「あ、ああ....」


「そ、そんな....」


「あ、鮎人さん―――――ッ!?」


ステージの下、孫がステージ上で


体を近付かせた国東、そして鮎人を


目を大きく見開き見つめていると、


国東は、そのまま棒立ちで動かない


鮎人の体を捉え鮎人の体に


深くナイフを突き立てる


「・・・・ ――――ッッ!!!???」


「お前の―――....


「え?....


確かに、突き刺さった筈の国東のナイフ。


「な、何で――――.... ッ!?」


"ビュンッ ビュンッ!"


確かにナイフは鮎人の体に突き立てられたが、


「なッ――――! く、クソッ!」


"ビュンッ! ビュンッ!"


「お前の、


 "打撃"


 では――――....


「なッ! ――――オイッ!?


 ちくしょうッ!?」


"ビュンッ! ビュンッ!!"


「(・・・・)」


確かに突き刺さった筈のナイフの感触が無い事に


「オッ、ちっ、ちく―――ッ」


"ビュンッ! ビュンッ!"


「・・・無駄だ...」


「・・・?!」


"ビュンッ! ビュンッ!"


「オッ、オッ!!」


国東は必死にナイフを振り回すが、


「"後ろ"


 だ――――・・・」


"トンッ"


「・・・あっ」


国東のナイフはまるで霧の様な


鮎人の体を素通りし、突然後ろから


声が聞こえたと思った次の瞬間、


国東は、地面に倒れ伏す――――


「お前の打撃では、俺に


 "攻撃を加える"


 事はできない・・・」


「ぶ、VR・・・・!」


"ドサッ!"


「あ、鮎人さんっ――――!」

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