第四十三話 「幻」

「咲茉....!」


"ギィィィイイイイイイイ....."


「鮎人――――、平気....?」


「・・・・!」


突然、鍵が掛かっていた筈の部屋の扉が開き、


その扉の前に、事務所の新人アイドルである


"指々首 咲茉"


が立っているのが見える...


「な、何で、お前―――...?」


「・・・犯人は、イさんなんでしょう?」


「・・・・!」


"コッ コッ コッ コッ――――...


ホール内の明かりと、部屋の中が暗いせいで


逆光になっているのでよく分からないが、


ゴーグルをつけた咲茉は隠れる様に


自分が開けた扉を静かに閉めると


部屋の中にいる鮎人の元まで歩み寄って来る


「・・・これ...」


「・・・・??」


"カタッ!"


「・・・"ゴーグル"か?」


「・・・・」


"コクリ"


「・・・・」


咲茉、は、鮎人の側まで歩み寄って来ると


自分の手に持っていた別のゴーグルを


鮎人の前に差し出す


「こ、これが何なんだ?」


「鮎人――――...」


「??」


"カタッ"


何か、普段とは違う様な態度の咲茉に


鮎人が手渡されたゴーグルを掛けると、


鮎人の目に鮮明な"咲茉"の顔が


浮かび上がって来る


「――――???


ま、まさか――――!」


「そう――――」


「う、うおおおおおおおおおおおっ!」


「鮎人・・・・」


「う、うわぁああああっ!


 ――――う、うわぁあああああっ!」


「鮎人・・・!」


今分かった――――...


「うわっ! うわわわわわぁぁあああっ!?」


この事件の犯人、そして、


今回の事件の真相が―――っ!


「うわぁっ!? うわわわぁっ!?」


「鮎人――――っ!」

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