第二十一話 「死因」
「とにかく――――」
「な、何だ?」
「い、いや今鮎人の話の途中だったでしょ?
確か、伊坂さんが落ちたバルコニーに
縄が掛けられてたとかどうだとか・・・」
「あ、ああ。 ・・・そうだったな」
先程ホール内の明かりが突然消えた事に
事務所のスタッフ達が何か騒いだ声を上げるが、
すぐに明かりが点くと、今自分達全員が
何をしているか思い出したのか、
ステージの下にいるゴーグルを掛けたスタッフ達は
再び何かをボソボソと呟き出した鮎人を見上げる
「ロープ....」
「―――そう。伊坂さんが転落した
バルコニーの手すりの部分には、
さっきイが解析した様に
"ロープ"が掛けられていた...」
「じゃ、じゃあ伊坂の部屋には
そのロープを使って誰でも自由に
出入り出来たって事か!?」
「ええ―――...」
「・・・・」
意識が鮎人の話へと戻ったのか、
原が何か大きな声を上げる
「・・・・?」
「な、なあ、鮎人!?」
「・・・・?」
あまり明かりの届かない
ホール内の並んだ座席の中央付近にいる原が
やたらと興奮した様子を見せている事に
鮎人は少し、歪(いびつ)な印象を感じ取るが、
「(・・・・)」
原を無視して鮎人は、
自分の考えを口にし出す―――
「じゃ、じゃあ、鮎人、伊坂の部屋は
密室じゃなかったって事か!?」
「・・・・」
先程まで全員が密室だと思っていた
伊坂の自室である二等室。
「じゃあ、伊坂は――――!」
「"他殺"ですね」
「・・・・!」
「そ、そんな―――――」
「伊坂さんの部屋に、人が出入り出来た―――」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
瞬間、部屋の中の空気がまるで入れ替わった様に
この場にいる全員を包むが
「じゃ、じゃあ、もしかしたらこの中に――――」
「犯人がいるかも知れないって事か!?」
「(・・・・)」
「じょ、状況から考えると
その様だが・・・」
「・・・・」
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