第50話 聖剣

『たあーっ!』

ずんばらりん


気の抜けたかけ声と共に、メカ娘は聖剣エクスカリバーver1.03を振り抜いた。


すぱっ どしゃっ


ウッドゴーレムの巨体が真っ二つになって倒れ伏す。


迷宮の六階層目、相変わらず洞窟状の通路が続くが、小部屋の数が減った代わりに通路が高さも幅も広くなっている。

たぶん、大型の魔物が戦い易いようにダンジョンが調整してるんだろう。


『お前、さっきから接近戦しかしてないが、“土属性まほー”はどうした?』

『飽きた』

いや、飽きたって、遊びじゃないんだから…


「トニー、魔石と木材がドロップしたにゃ!」


~・~・~


『たあーっ!』

ずんばらりん


気の抜けたかけ声と共に、メカ娘は聖剣エクスカリバーver1.03を振り抜いた。


がきょん どしんっ


ストーンゴーレムの巨体が真っ二つになって倒れ伏す。


ここは迷宮の七階層目だ。


「トニー、鉱石がドロップしたにゃ!」


~・~・~


『たあーっ!』

ずんばらりん


気の抜けたかけ声と共に、メカ娘は聖剣エクスカリバーver1.03を振り抜いた。


ぎいぃん ずしんっ


アイアンゴーレムの巨体が真っ二つになって倒れ伏す。


ここは迷宮の八階層目だ。


「トニー、鉄の塊がドロップしたにゃ、コレ重いにゃ!」


~・~・~


『たあーっ!』

ずんばらりん


気の抜けたかけ声と共に、メカ娘は聖剣エクスカリバーver1.03を振り抜いた。


ごきょん ずずんっ


ミスリルゴーレムの巨体が真っ二つになって倒れ伏す。


ここは迷宮の九階層目だ。


「トニー、ミスリルの塊がドロップしたにゃ!」

「それよりも今ゴーレムを斬った時になんだか変な音がしなかったか? 」

ガブリエラがメカ娘に訊く。


『あー、あたしの“えくすかりばぁ”が刃零れしてるぅ!』

メカ娘が手にした聖剣エクスカリバーver1.03の刃が欠けていた。


まあ、ミスリルゴーレムを一刀両断したからな…まあ、弊社の製品だったらこの程度で刃零れなんかしないがな。


『しゃちょーさん、治して下さい』

メカ娘が刃零れした聖剣を私に差し出して来る。

『ハイハイ』

刃零れした聖剣を、ミスリルゴーレムのドロップ品のミスリルの一部を使って錬金術で修復した。


~・~・~


迷宮の十階層目のボス部屋、この部屋のボスはオリハルコンゴーレムだった。


硬い上に魔法も効きにくい相手にメカ娘が斬りかかった。


ガブリエラとタマはオルハルコンゴーレムの取り巻きのアイアンゴーレムと斬り結んでいる。


『たあーっ!』

ずんばらりん


気の抜けたかけ声と共に、メカ娘は聖剣エクスカリバーver1.04を振り抜いた。


ぎいいぃん ぽきん ずずーん


オリハルコンゴーレムの巨体が真っ二つになって倒れ伏す。


「……」


「さすがはトニー様の作った聖剣、アイアンゴーレムが相手でも刃零れ一つないな」

ガブリエラが自分のステンレス製の剣の刀身を惚れ惚れとした目で見ている。

いやぁ、それほどでもあるけどな。


「この刀ならミスリルゴーレムでも斬れそうにゃ」

タマのチタン合金の忍者刀もキズ一つ無い。


「しゃちょ~、わたしのダガーもとっても鋭いよ」

いや、ヒルデガルドなんで私の背中にダガー突きつけてるの?


『しゃちょーさんっ、あたしの聖剣が折れたぁ~』

オリハルコンゴーレムをぶった斬った際に聖剣がポッキリ折れ、魂が抜けたみたいにへたり込んでいたメカ娘がようやく復活して騒ぎだした。


『だから、お前のパワーだとどんな剣でも持たないって言っただろ』

『治して下さい~』

刀身の半ばからポッキリ折れた聖剣を差し出して来る。


仕方ない、オリハルコンゴーレムがドロップしたオリハルコン塊を使って刀身を再生するか…


【聖剣エクスカリバーver2.0】

うんっ、なんかバージョンが上がった?


『社長さん、聖剣がなんだか別物になってません?』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る